にこまこす "チ。-地球の運動についてー(..." 2026年7月9日

チ。-地球の運動についてー(8)
再読!チ。全体のネタバレを含みます。 気づきや感想など。 オクジー君はこの世に期待することで恐怖から解放されたのに、シュミット隊長は神ではなく自分の判断を信じたことで初めて恐怖を感じるの、とっても興味深い。 信仰が深まることで死を受け入れた人もいれば、信仰が揺らぎ死を覚悟するシュミット隊長もいる。 惨めだと言われても、自分が選んだ運命を受け入れる強さがあったのは、彼に神があったからかもしれない。 活版印刷を用いた本について、またマルクスが喜びそうな話をするドゥラカちゃん。 アントニ司教、認めた人間の話はしっかり聞く。けどヨレンタさんをあんなふうにした人なので、気持ちの折り合いをつけるのが難しい人物。 地動説が異端かどうかは権力者の裁量で変わる… ここで伝書鳩を含めた契約をするから、ラストにつながる。 アントニ司教が地動説を弾圧する場面は確かになかったが、ここはノヴァクさんを思うと辛いシーン。アントニ司教のお父様も天文をされてた、彼は何をどう解釈したのかな。 フベルト、ラファウ、オクジー、バデーニの名を叫ぶノヴァクさん、最も地動説に狂わされてる… 地動説の迫害を実行したのは私だけ…?気の毒だが、受け入れるしかない…アントニ司教、情で動かない唯一の人物なのでは? 君や君が担当した異端者たちは歴史の登場人物じゃないと言い切るあたり、そう感じる。 死の責任は神じゃなくて人が引き受ける、反省と自立がある、暴走した文明に歯止めを、異常な技術を乗りこなせる知性に… ヨレンタさんたちと出会って日が浅いはずのドゥラカちゃん、成長が凄まじい。 幻覚ラファウ君。 何人も石箱に人生を狂わされてきた…ノヴァクさんも。 地動説が異端でないのなら、この物語の悪役になってしまうノヴァクさん。 同じ時代を生きた偶然に奇跡を見出すラファウ君。(でもこれはノヴァクさんの幻覚なので、ノヴァクさんの言葉だと思う)ヨレンタさんとおなじだね。 ノヴァクさんは確かに敵対していたけど、物語には大切だった。 ラファウ君に対して、信念や信仰に殺されるには若すぎると心を痛めたノヴァクさんも、大切な物語の要素だった。 最後に思うことは、「娘と天国で再開したい」ではなく、「娘だけは天国にいっていてくれ」だった。手袋と手の再開によって彼は地動説を受け入れたかもしれない。手袋を彼が守ってるということは彼女は天国に行けたのだと思う。最も悲しい死だ。 ドゥラカちゃん、手紙出す約束果たせて良かった。 死んだら全て終わり。彼女は金や知識があったけど、託したいと思えるものはまだなかったのかもしれない。だから死を強く恐れる。恐れ見れなかった朝日を美しい物だと教えてくれた人がいたから、なんとか幸福な最後の表情で命を終えられた。ドゥラカちゃん、幸せだったのかはわからないが、これで良かったと思えるものには、地球の運動を通して出会えたんだね。 1468年ポーランド王国と、明確に表記される。 知と空を恐れるアルベルト君。 プライバシーに配慮した告解室の登場で歴史が進んでることを認識させられる。 天体観測を好む少年の父は学ぶのを重んじたが、歯止めの効かない探究心には懸念していた、 親がいなかったけど裕福な生活を送れたラファウ君、1章とリンクしている。 神が作つくった世界を知りたいと願うことを尊い欲望だと言い、少年の好奇心を全肯定した。 お父さんが持っていたある資料。それは宇宙の形を根本から変えてしまう画期的な説に関する物… もしかしたら バデーニさん、クラボフスキさん、ヨレンタさん、ドゥラカちゃんが残したオクジー君の本かも?(地球の運動について) 矛盾は両立する、何故なら人間だからという言葉は、学問と宗教の話をしたヨレンタさんとドゥラカちゃん、研究姿勢と信仰の話をしたオクジー君とバデーニさん、などを想起させる。 そしてこの告解室の聖職者はこの世界が奇跡的だと知っている。 友人の命を見捨ててしまったこと。2章でヨレンタさんを庇って信じてしまった彼のこと? 神は居場所になってくれることを説く。神は口を開かないから私達は考え続けられる。それを幸福だと思いたいと願う。 異端審問官の彼なのだとしたら、こう考えるまでに一体どんな苦難があったのだろうか。異端思想の人物にも接した上で、思考を幸福だと言えるのは強く魅力的で美しいなと思った。彼の言葉がアルベルト君の救いになったかはわからないが、彼の人生を前向きにしたのは確か。 硬貨を捧げればパンを…税を捧げれば権利を…労働を捧げれば報酬を…一体何を捧げればこの世の全てを知れる?チ。の初めのシーンに出てくるテーマに戻る。 矛盾が両立し得ること、父親も先生も正しかったが有効ではなかったこと、足りないから補えること、人間はポリス的な動物なこと、タウマゼインを肯定すること、そんな知識と希望を携えて前に進むアルベルト君… 大学に入学し、空を見上げる。 受け継いだ人たちの姿が映る。 空を見て息を吸う。 アニメも原作も、とても良いシーンだった。 街に溢れる他愛ない会話から、地球の運動を知り、タウマゼインを感じる… アルベルト君が出るまでのラファウ君〜ドゥラカちゃんの物語は、P国において地動説を研究した人たちのファンタジー。アルベルト君登場後は、史実に基づいた「あったかもしれない」物語? 地動説を受け継ぐ人たちの物語だけど、本質的には地動説を通して自由を追い求めていたこと、研究や仕事のために情は不要だと自分に言い聞かせつつ、仲間のために犠牲を払った者たちがいたこと、その全てが歴史となったこと、が物語の面白いポイントだった。感動できた。
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