芙蓉
@fu_rong_28
2026年7月10日
営繕かるかや怪異譚 その弐
小野不由美
怪異を祓うのではなく、怪異と折り合いをつける。
ただ存在する怪異に対して、人間がきちんと暮らせるよう家を修繕する。
だから必ずしも怪異が去るわけでもない。
営繕を生業とする主人公が淡々と家と向き合う様子に毎度ほっとする気持ちと、分かりやすい解決策が存在するわけじゃないことに不安も感じる。
慌ただしい都市とは切り離されたような古い城下町の 古めかしい家で起こる、静かでいながら確かに存在感を醸す怪異たちに日本怪談のじめっとした空気を感じてとても良い。
主人公以外の登場人物たちも怪異に魅せられたり向き合ったりする人間味が面白い。
建物を、道具を、暮らしを、人との繋がりを大切にすることに思いを馳せるような読書だった。
・魂やどりて
p209「育もこれまでさんざん家を弄ってきたが、「手入れ」という感覚はなかったことに気づいた。」
一人気ままな暮らしでつい雑な日々を送りがちな自分にも刺さる一言だった。