ぶしたろ "ファイア・ドーム(下)" 2026年7月9日

ファイア・ドーム(下)
圧巻の上下巻だった。この物量なのに無駄な言葉がない。著者が覚悟を持ち、台詞一つにもどれだけ吟味して挑んだのかひしひしと感じた。 25年前に事件が起こった時、街には酷い噂話が広がった。身近で起こった大事件を人々はある意味ハレの場にしてしまったのだ。 誰かが無責任に蒔いた小さな種が人口に膾炙するうちに増幅して山火事のようになってしまった。 それが現在、少年の行方不明事件につながってしまった。少年は蝶を探しに行った。とんでもないバタフライエフェクトだ。 街を騒がす大事件。それなのに暫く経ったり、よその地域に行けば忘れられ、他の興味に押し流されてゆく。SNSでの誹謗中傷も根っこは同じだ。当事者以外の人間の、適当な意見や煽りで炎は激しく上がる。傷ついた人は一生苦しむかもしれないのに、誰も責任を取らない。 重い物語だが、受け止めなくてはならない話だと思った。
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