
ゆい
@no1sin
2026年7月10日
苦海浄土
中村桂子,
加藤登紀子,
池澤夏樹,
石牟礼道子,
赤坂真理,
鎌田慧
読み終わった
>こら、杢、握っとるかえ、とも網は。爺やんはくたぶれてねむるけん、おまいが頼りぞ。うん、おまいもくたぶれたか、ねむかか。ほんにほんに、むりもなか。おまいも毎日、くたぶれる。
兄しゃん達が薪ば割れば、縁の入りに這い出て来て、かなわん指ば握ったりひらいたり。おまや、そのよな体に気合いをいれて、薪を割って加勢する。うん、今日も加勢したのう。すっすらすっすら、汗流してのう。こまんか体から。
今日のたきもんは、おまいが割って加勢した。おまいが割った。
今夜の魚は、おまいが割って加勢したたきもんで、炊いた魚じゃった。のう、婆やん。
ごっつおさまじゃった、杢。ごっつおさまじゃったぞ、杢。
おかげで、爺やんは、焼酎のうまかった。
ほっほ、爺やんは、そろそろ魂の、ゆらゆらとしてきたわい。
おまいも飛ぶかえ。飛ぶかえ、いっしょに。
爺やんと。
それ、
漕げえ、漕げえ。
揺れえ、揺れえ。ほら、爺やんが、揺すってやるけん。
寝れ、おまいが魂もくたぶれるわいのう。
爺やんが膝ば、枕にして。ほらよ、爺やんが舟は、ねむり心地のよかろうが。
楽になれ、楽になれ。臍は天さね向けて。
むけたか、臍は、こら。ふっふ。(P.284)