
オムロちゃん@ゆっくりレモン
@Omuro
2026年7月10日
「好き」を言語化する技術
三宅香帆
読み終わった
次の日、誰とこの内容を話したんだっけ、と思うくらいだった。
三宅香帆さんの本を読んでいる時間は、文章を読んでいるというより、誰かと会話をしている時間に近かった。
そもそも俺は、エッセイというものが何なのか、よく分かっていなかった。気になったことを少し斜に構えて眺め、鋭い言葉で切っていくようなものなのだろうか。そんな勝手なイメージを持ったまま読み始めた。
もう一つ、この本を手に取った理由がある。自分には推しいうものが理解できない。成果物に憧れることはあっても、知らないその感覚を少し知ってみたかった。
読んでみて最初に驚いたのは、その軽さだった。
軽いといっても、内容が薄いという意味ではない。考えていることを、そのまま目の前で話してくれているような軽さだった。文章を追っているはずなのに、いつの間にか話を聞いているような気分になる。
そのせいか、次の章に進む頃には、序盤に書かれていたことをかなり忘れていた。自然に頭へ入ってくるぶん、抜けていくのも早い。
けれど、それを欠点だとはあまり思わなかった。
何度も読み返して、少しずつ拾い直していくのが合っている本なのかもしれない。
ここまで飾らないで作者の顔が見える本を読んだのは初めてだった。その人がそのままこちらに話しかけてくるように感じた。
書かれている内容の中には、普段の俺なら文句の一つも言いたくなるようなものもあったと思う。
それでも、不思議とそうはならなかった。
正しさを押しつけられている感じがなく、あくまで会話として差し出されていたからだろうか。いつもの自分より少しだけやさしい気持ちで、最後まで話を聞くことができた。