
K野
@knocano
2026年7月11日
東京貧困女子。
中村淳彦
読み終わった
借りてきた
感想
風俗や介護の現場をよく知り取材・執筆を続けるライターによるルポ。元は東洋経済オンラインのweb連載だったものの書籍化。
インタビューに応じてくれる人を呼びかけて話を聞くスタイルなので飛び込み取材などでは無くご本人が話しを聞いて欲しくて連絡していると分かるのは安心材料だったが、web記事だった為にかなりの心無いコメントが殺到したことに女性達が追い詰められていないかはとても心配になった。
貧困の原因はいくつかある。
大学進学したものの日本の大学の高すぎる学費、東京の家賃、そして悪質な学生ローンと化した奨学金返済。
月々わずかに足りない分を限られた時間で稼ぐ為に風俗をせざるを得ない若者。
シングルマザーの就職難を吸い上げる介護界隈の劣悪な労働環境。
稼ぐ以上に時間と健康を奪われ結局家族丸ごと壊れてしまい、子供の世代へと貧困が連鎖してしまう。
そして介護や保育、学芸員などごく真面目に働く資格もある人々を不当に買い叩く官製ワーキングプア。
下手に読むと落ち着いて状況改善をせず悪い方へ悪い方へ向かう女性達に自己責任の文字を押し付けそうになる。だけどどうしてDV男に縋るのか、何故風俗に踏み込むのか、よりにもよって闇金に手を出すのか、なぜ福祉を頼らないのか…全部答えはそれしか見つからなかったからだと思う。
この国がまともな制度を整えていない、あっても必死に探さないと見つからない、見つけても門前払いされる。
重い障害を患いながら子供を育てる女性のインタビューで初めて知ったが、障害年金を受け取ると児童扶養手当がもらえないという。
そして生活保護を受けると大学進学は認められない。
制度が貧困からの脱出を阻んでいるとしか思えない。
人を救って育てて生かすことを考えない、何を目的としているのか分からない冷血な国や行政が人をすり潰し、弱いところから追い詰められる。
そういう現実を嫌というほど知らさせる凄まじいルポだった。

