
乖離
@karu
2026年7月11日
すべての、白いものたちの
ハン・ガン,
斎藤真理子
読み終わった
@ 本の読める店fuzkue 下北沢
タルトック(月のように丸い餅)のように白く、白い産着に包まれた、産まれて2時間で死んだ姉。
白いものたちを見て、思いを馳せて、書き留めて。いくつもの白い断章によって、私の身体と彼女の生を重ね合わせる。
言葉による復元、受肉の本。
白い姉に生命を与える土地は、雪のように白く崩れ焼き払われた都市・ワルシャワ。
都市は「粘り強く自分を復元してきた(p.33)」。
pp.45-46
しなないで しなないでおねがい。
その言葉がお守りとなり、彼女の体に宿り、そのおかげで私ではなく彼女がここへやってくることを考える。
ふしぎなほど近しく思える、自分の生にも死にもよく似ているこの都市へ。
たくさんの白いものが、姉の再生のためのモチーフとしてあらわれる。私が特に惹かれたのは塩と骨。
白い塩の丘に足を踏み入れるインスタレーション。
p.86
あれをしたいなら、一つも傷のない足を持っていなくては。写真を眺めながら彼女はそう思った。あそこに載せていいのはきれいに癒えた足だけだ。あの山――どんなに白く輝いていても、影のところは寒々と冷えているあの山に。
身体の中にある白い骨。
p.119
疼痛があるので、彼女は全身のX線撮影をした。海の底のような群青色をした写真の中に、白くかすれた骸骨が一体、立っている。人の体の中に、石の物性と似た硬いものが控えているのが、驚くべきことに思えた。
ミネラル質の白いものが好きなのかもしれない。
長らく積読してしまっているうちに文庫版も出てしまったのですが、複数の白い紙が本文に使われているのが素敵なので単行本で買って良かった(写真参照)。
