@sotaono
2026年7月11日
p16
「「君のそういうところが、私は好きだ。」」
p16
「「パティでけっこうです。」と微笑んだ。」
p19
「「私は、その逆だと考える。その矛盾を抱えてこその天才だとね。」」
p29
「「もし、マガタ博士が生きているとしたら、年齢は二百五十歳くらいになるね。」ヴォッシュが指を立てる。」
p31
「「素晴らしい。」ヴォッシュは言った。「私の結論も同じだ。この一ヶ月考え続けた末、その結論に私も至った。ナクチュについて調査をする委員会を作ったとしたら、おそらくこの三人が選ばれる。そういった人選を、女神がしたというわけだ。我々は、お互いに補完し合う知識と技術と権限を持っている。そうだろう?」」
p33
「「それは、言葉だけの解釈、あるいは分類にすぎない。認識も錯覚も、機能としては本来、同じものだよ。」」
p42
「「神のお告げがありました。私は、それに従っただけです。」」
p43
「「ハギリ博士、貴方は、私の声をどうやって聞くのですか?」」
p45
「「一族の言い伝えといえば、あの場所については、見てはいけない、言葉にしてもいけない、と……。」」
p45
「「そうです。博士たちを、神聖な方、神の使いだと受け止めているのです。神殿に出入りをしているのでなおさらでしょう。」」
p46
「「目にすれば失い、口にすれば果てる。」」
p49
「「満足していなかったら、不満なのでは?」」
p57
「「その、生きている、という感覚が、意識の起源だとは考えられませんか?」」
p60
「「そう、その自己観察が生まれたのも、つまりは、外側を内側に入れ込んだことによる。プログラムが、自分のプログラム・コードを読んで、それを書き換えるような行為だね。」」
p62
「何故、人は考えるのだろう?何のために、考えようとするのだろうか?」
p64
「あらゆるものを手に入れようとして、結局のところ、あらゆるものを失っているのではないか、という気がしてならない。」
p66
「「面白いね。工学的というか、人間的判断の極みだ。」」
p72
「「私も一つ考えてきたことがある。」ヴォッシュが指を一本立てた。「何故、君が選ばれたのか、ということだ。もしかして、君は、マガタ博士の子孫なのでは?」」
p88
「「ほかの可能性が思いつけないからといって、思いつけるものから解を選ぶのは、消去法の成立条件として不備がある。」」
p91
「なんとなく、満月がわざとらしく感じた。」
p97
「僕の個人的かつ大雑把な印象では、ウォーカロンの方が緻密で集中力があり、おそらくは思考力にも優れている。一方、人間の方が発想力があり、インスピレーションに長けている。これは、思考が集中せず、その散漫さから生まれる発想がある、ということだ。別のことを連想してしまうから新しい発想が生まれる、と言い換えることもできるだろう。」
p100
「「人間は、被害妄想を持っているのではないでしょうか。」」
p101
「「しかたがないよ。今生きている人間は、ほとんど何十年もまえの世代なんだ。私も含めてね。君のように自由に考えられる若者はもういない。そこを理解してほしい。」「そうですね、たしかに、そうかもしれません。ありがとうございます。」」
p110
「「博士にお話ししたかったのは、私たちが所有する土地にある遺跡のことです。古い天文台です。保養施設を建設する目的で購入した土地ですが、遺跡が見つかったので、その建設計画は頓挫したままです。」」
p118
「「本当にそのとおりだと思います。人がいると、邪魔になります。」」
p124
「「ここには、曼荼羅があります。」」
p126
「青い湖が広がっている。」
p128
「そこに現れたのは、大きな人形の顔、しかも上半分。」
p146
「「神は、ここでは死と同じものです。」」
p153
「「一つは、絞殺と思われる遺体があったこと。若い男性だ。たぶん、十代だろう。」」
p161
「涙が流れるのは、何故でしょうか?」
p162
「カンマパ・デボラ・スホ」
p196
「「私は、タナカです。」」
p199
「「病理?ウォーカロンの病気だというのですか?」」
p200
「「マガタ博士が、その全体頭脳について言及している。」ヴォッシュが言った。「二百年まえのことだ。」」
p200
「「夢を見るような現象です。」」
p201
「「しかし、現在のウォーカロンは生きている。人間と同じものになった。違いは頭脳の有機チップのみ。そして、ポスト・インストールされることだけが、彼らが人間になれない最後の一段です。その一段を上がれば、人間と同等ですが、それでは、高い確率で、いずれは危険な悪夢を見てしまうのです。」」
p202
「「万物は流転する。自然とは、そういうものなのだ。星でさえ、寿命がある。変わらず永久に存在し続けるものはない。」「生命は、自己保存のために、常に新陳代謝を繰り返しますが、それも、細胞の変異を生む機会になります。」タナカは言った。「避けられないジレンマなのです。」」
p206
「タナカは、無理に笑おうとした。しかし、目は笑っていない。その目は潤んでいて、瞳が揺れていた。「しかたなく、処分されるウォーカロンを連れて、私は脱出したのです。残念ながら、全員とはいきませんでした。みんなを救うことができなかった。」」
p222
「安全?それとも完全?」
p222
「僕の識別システムは、その一歩を検出しているのだ。人間の思考の方がランダムで、他回路へ跳びやすい。その不規則な運動は、白昼夢に似ている。忘れることにも似ている。間違えるのも、勘違いも、似ているのだ。ぼんやりしてしまうのも……、同じ。」
p224
「気まぐれ。人間にしかないものだ。」
p224
「ウォーカロンの中に、既に人間に変異している部分が存在するのだ!」
p229
「没頭だ。ウグイには、それが意識のない人間に見える。」
p229
「「月が見たいのでしょうか。」と僕はジョークを言った。」
p229
「「そうそう。日本には月のお姫様の神話があるだろう。」ヴォッシュが言う。目許がほんのりと赤くなっていた。」
p230
「「カグヤヒメじゃないですか。」タナカが言う。」
p241
「「チンハイは中国語ですか?漢字は?」僕はきいた。「青い海です。」「たしかに、青いですね。」「この地方では、青い鳥と同じ意味で、青い海を求めるのです。」タナカは話した。「遠くから見ると、青くて綺麗なのですが、水辺まで近づくと、青くはない。」」
p247
「ガラスで作られているのか、綺麗なブルーの瞳だった。光を宿し、艶やかで、本当に生きているような。」
p249
「「私はどこから来たのか、私は何者か。私はどこへ行くのか。」」
p250
「「簡単に言えば、私の役目は、人類の共通思考の構築です。」」
p251
「「おやすみなさい。」」
p255
「文化的な生活とは、すなわち容易な選択であり、洗練とは、選択肢の少なさがもたらす円滑さのことだ、と諦観するしかない。」
p261
「「シキ。」」