
ユメ
@yume_bookworm
2026年6月10日
少女小説家は死なない!
やべさわこ,
氷室冴子
読み終わった
感想
ひょんなきっかけで少女小説家の火村彩子に部屋に転がりこまれ、大学生の朝倉米子がはちゃめちゃに振り回される日々を描いたコメディ。
彩子センセというひとがとにかく暴君で、米子のことを気の毒に思いつつも、あまりの傍若無人ぶりに何度も笑ってしまった。彩子センセは口を開くたびに暴言を放つと言っても過言ではないぐらいなのだが、私がとりわけ気に入っている台詞は「あんたもあたしに心酔してる弟子なら、ライバル小説家の家に忍び込んで、原稿盗んでくるくらいの執念をもたなきゃだめじゃないの」である。
このライバルたちも揃って曲者なのだが、彩子センセも含め、皆お世辞にも小説が上手いとは言いがたい。上手いひと(=氷室冴子さん)が書く、様々な文体の下手なひとたちの原稿ときたら、これはもう笑うしかない。
奇人変人ばかりの少女小説家たちがライバルを蹴落とすべく繰り広げた修羅場ののち、『少女小説家は死なない!』というタイトルの意味が明かされるオチが実によい。そして、そのラストシーンから著者あとがき、久美沙織さんによる解説という流れがある種完璧とも言える美しさ。すぐれた少女小説家は本当に、いつまでも生き続けるのかもしれない。こうしてこの物語が復刊され、刊行当時を知らない私のような読者に届いたように。




