和月 "殺人出産" 2026年7月10日

和月
和月
@wanotsuki
2026年7月10日
殺人出産
殺人出産
村田沙耶香
村田沙耶香さんの創り出す世界のエッセンスが凝縮されたような短編集。 私が今まで読んだ作品達より血と性の要素に傾いている。 面白い、と単一的に表現するにはかなり現代社会の倫理観とズレがある世界だけど、その中に漂っている現実にも通じる違和感、同調圧力にすり減る精神の描写が生々しく読み応えがあった。 短いお話なのに、色濃く印象に残る物語ばかりだった。 賛否わかれるだろうな〜という読後感だったけれど、作中の言葉で表現するとすれば、「みんな清らかだからこそ、他の人の清潔な世界を受け入れることができない。」 今の、2026年の倫理で生きる私にとって受け入れ難い常識だとしても、その考えを悪だ穢れだと喚くのは単にそれを良しとしない現代で生活している「私」の都合だ。 作中で蝉スナックに順応する人々と、現実でカタツムリパックをする人々の違いなんて、実は存在しないのだと思う。 私は割とマジョリティが掲げるルールに対して唯唯諾諾とした態度で接する性格なので、村田さんの作品を読む度に世界の理を見つめ直す時間をとれる気がしてとても好き。まだまだ読めていない作品があるので、もっと読んでいきたい。
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