あここ
@hanyako2
2026年7月12日

湾
宮本輝
読み終わった
これの前に読んだ大作「潮音」のように時空を当時と今に自由に行き交わせながら紡ぐ異父姉弟の話。
私自身が先日父を亡くし、年も取ったせいか、語り部となる74才の主人公と一緒に10才から成長してしまうことは割と自然な感情移入であった。
この本を若い頃に読んだらもっと違う感覚・感想であったろう。
それは、それぞれの登場人物の亡くなった年代、年齢が何度も描写されることに起因する。
私は、何者にでもまだなれる!という大志を抱くほどには若くない。
かといって、いくつになっても夢を見たり冒険したりできるのだ、と息巻く日もある。
そして、その次の日にはまた、どう楽観的にみても、30年は残されていない自分の人生が、本当に最後の花咲かせるための最後の準備期間に入ったと感じるのである。
だから、物語の中で順番に周りのみんなが老いて亡くなり、週末の墓参りのために電話口でそれぞれの名を連ね、手の甲で涙をぬぐった74才の主人公に共感してしまい、ふいに寂寥感が私を襲い、私までも涙してしまった。