
ルイス
@lou2s
2026年7月11日
平場の月
朝倉かすみ
読み終わった
堺雅人が出演する映画を観る前に、原作を先に読んでみた。恋の物語だった。でも、青春小説や高校生たちの、火傷するほど熱い恋愛話ではなく、中高年の、ほのぼのとした、生活感たっぷりの話。
主人公とヒロインは、高校の同級生という関係から始まり、35年ぶりに再会し、お互いの傷や身内のことを抱えながら少しずつ近づいていく。ヒロインの死は物語の早い段階で読者に明かされていて、そこに向かって話は進んでいく。ヒロインががんを患い、ストーマとともに生きることになってからも、二人の関係は、レジに並んでいるときのオナラの音で笑い合うような、日常のちょっとした軽口と隣り合わせに描かれている。それでいて、その笑いの奥には、いつも不安な影が静かにかかっている。
それぐらいの歳になれば、身内を亡くすことや難病を患うことも、自然と身近になってくるものだろう。この小説は、それをそのまま、飾らずに語っている。主人公の歳になるにはまだかなりあるので、完全に共感できるとまでは言えないけれど、リアルで切ない、重みのある話だった。
