
どんぐりころすけ
@dongrik
2026年7月15日
三体3 死神永生 下
ワン・チャイ,
光吉さくら,
劉慈欣,
大森望,
泊功
読み終わった
5巻を通しての感想。
圧倒的スケール。巻を重ねる毎に広がるスケールにどこまで広げるのか不安もあったが、宇宙の空間と時間の果てまで広げた上で、見事に描き切ったと思う。
宇宙に対するスケールを見誤っていたと気付かされる。宇宙の怖さ、寂しさ、途方も無さを想像させてくれる。
宇宙の壮大なスケールを背景にしながらも、物語の主旋律は小さな個人の想いで紡がれていく。
イエウェンジェ:
文化大革命という狂気に傷つけられ人類に絶望し、悲劇のトリガーを引いてしまった。ルオジーに暗黒森林の示唆を託し、失意のもとこの世を去った。まあ、開けてみないとわからないよね、パンドラの箱かどうかは。
ルオジー:
面壁者として理想の恋人を手に入れ、入れ込んだあげく、ちゃんと怒られて愛する人を取り上げられてからキマる。身を投げ出し、暗黒森林という構図を解き明かし三体人による侵略を抑止状態に持ち込むウルトラCを体現したヒーロー。覚悟がキマりまくったせいで妻子に逃げられるが、太陽系が2次元になるその直前まで、人類滅亡を避けるための手助けをし続けた仙人。何故かわからないが、亀仙人みを感じる。
チェン・シン:
人類は犠牲にできないけど地球も守りたいどうしよう!でもとにかく犠牲は払えない!で、太陽系を死に追いやった人。その美貌からいつも誰かに助けられているが、ユンティエンミンを始めとして、ある意味周りの人を(意図せず)動かし続け、巡り巡って人類滅亡を阻止したともいえる。最期に宇宙に質量を戻す決断をしたのは性善説的な母性愛を信じる彼女だからこそ、と持ち上げておく。
ユンティエンミン:
想いを寄せ続けたチェン・シンに、久しぶりの再会と同時に脳だけにされ、宇宙に放り投げられたあげくあらぬ方向に飛ばされた不遇の男。キャッチしてくれた三体人にはこの時ばかりは感謝しただろう。崇高なオトギ話で宇宙の現代戦のメカニズムを人類に伝え、文字通り頭脳で地球を救ったヒーロー。報われない、でも捧げ続けた愛の男。最後AAと幸せに過ごしたならそれはそれでよかった、のかな。
ウェイド:
何も求めず、狂気の沙汰でありながらもただ人類を守る選択をした真のヒーロー。この人がいなかったら、ユンティエンミンの脳を三体人に届けるヘイルメアリーパスは実現せず、宇宙は解き明かせず、光速宇宙船も作れぬまま、太陽系生命体は宇宙最後のときを迎えられなかった。実際いるよね、こういう人。
物語の構図として、恋に落ちた男性諸君が鼻息を荒くして何とか解決する流れになっている。
その過程は、ボクが考える理想の恋愛、のような現実味がない流れで違和感を覚えるが、男の単純さをデフォルメして表現していると考えると、わりと現実世界もこんな感じな気がしなくもない。
個人的に、惑星ブルーに到着する直前で破裂したデスラインに捕まり1890万年経ってしまった表現として草木の色が紫になっているシーンがあるが、情景が鮮明に浮かび、長い時が経ってしまった哀しさを感じとれる。色で表現しているところが好き。
壮大さの中に、著者の癖も見え隠れする、ちゃんと組み立てられた物語で楽しめました。
最後に違和感ポイントを残して終わりにする。
・4次元で水滴倒したところ偶然すぎないか
・なぜ三体世界は三体系の座標を送信されたときに報復として地球座標を送信しなかった(自分が見落としてるだけ?)
・なぜジュアンはルオジーのこと好きになった
・三体というタイトルは三体世界はそのとおりだが、その後の展開的には何かのメタファーになってるのか