ユメ "夜に猫が身をひそめるところ" 2025年3月25日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2025年3月25日
夜に猫が身をひそめるところ
クラフト・エヴィング商會の四代目である吉田音ちゃんは、学者で探偵である円田さんとともに、黒猫のシンクがどこからか持ち帰ってくる〈おみやげ〉について考える〈ミルリトン探偵局〉を結成する。その決まりは「解けそうな謎でも、決して解かない」こと。 音ちゃんたちが推理を繰り広げる日常のパートと、シンクの〈おみやげ〉の真相のパート、二つの物語が交互に配されたこの本は、森羅万象について考えを巡らせ続けることの愉しさを教えてくれる。日々を忙しなく生きているとつい視野が狭くなってしまうけれど、こんな風に「夜に猫が身をひそめるところ」に思いを馳せてみたら、自分の日常のすぐ近くに無数の物語が散りばめられていることに気付けるかもしれない。ホルン吹きの男が主人公の「奏者」が、大好きな『小さな男*静かな声』に通じる雰囲気でお気に入り。 吉田篤弘さんがイラストを描き下ろしたこの中公文庫版と、坂本真典さんの写真が収録されているちくま文庫版には、それぞれ違った味わい深さがあり、どちらも大切に読み返していきたい。
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