エビでんす "夏帆" 2026年7月13日

夏帆
夏帆
村上春樹
村上春樹は全作読んでいるけど前作が自分にとってのワーストだったので新作も恐る恐る読み始めた。 冒頭、ネット上でのあまりに雑な村上春樹批判を物語に組み込むような始まり方をしてすごく興奮するも以後それが展開されることはなく、まさかの守護天使!とものすごい肩透かしをくらう。 現実と虚構が曖昧な陰謀論的な物語展開はお得意の形だけれど、結局「ジャンクな物語」と「善き物語」を比べたときに、現実においては前者が力を持ち続けているのは明らかだし、そこに含まれる「有用性」こそが批判すべき対象なんじゃないだろうか?この頻出する「有用性」というワードを村上春樹がベタに使っているはずはないと思いながらも初読でその真意は掴み損ねた。 文体のレベルでも物語のレベルでも明らかに衰えてきているのは残念だけれど、そもそも我々はあまりに長い間、村上春樹に大きなものを背負わし過ぎている。インタビューによると大きな病気をしたみたいだし、余生はこういう肩の力を抜いた作品でファンを楽しましてくれたらいいのかもしれない。しかしやはり本音を言うと、悲しい。
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