
mari
@mari
2026年6月15日
クララとお日さま
カズオ・イシグロ,
土屋政雄
読み終わった
感情を持つAF(高度な知能を持つ人工知能ロボット)のクララが、腐敗した未来社会の中で病身の少女ジョジーを助けながら共に生きていくというファンタジーの形式を取るディストピア小説。
いつかAIは人の心を持つのかもしれないなんて思うこともあるけど、これを読み進めるうちに人間の心の持つ多面性、複雑さを改めて実感する。
「心の中の一つの部屋に入れたとして、さらにその奥にまた別の部屋がある、そしてその奥にも、、人の心の多面性はキリがなく永遠に未開発なんだ」、というジョジーの父親の言葉、人工ロボットがお日さま(恐らく神を指す)に人間の生死を祈ることのアンバランスさ、等々。
役割を終えたクララのラストシーンは、同じくカズオイシグロの「わたしを離さないで」の胸が張り裂けるような辛いラストを彷彿させる。淡々としたやわらかい語り口の中に、人間の傲慢さと残酷さを感じる。
