ななり "群像 2026年 5月号" 2026年7月14日

ななり
ななり
@bluebook_mark
2026年7月14日
群像 2026年 5月号
「ゾンビ回収婦」小砂川チト AIに仕事を奪われる職業がある、なんてことを聞くようになって久しい。そういうときその文脈にあるのは、労働という大きな存在の前で個別性を必要としない人間たちの領分が無くなるかもしれないという将来的な話のように思う。でもこの小説を読んで感じたのは、そんな無機質なものたちに後々代替可能な仕事を、日々あれこれ責められ、求められ、焦って傷付き摩耗しているイマの私たちのどうしようもない遣る瀬無さだった。この小説には直接書かれているわけではないけれど、“わたし”には家族や職場から背負わされてきた《愛情に由来する》言葉が幾つもあって、VRという向こう側の世界にNPCとして居場所をつくり、病的に入り込んでしまうことになってしまったのは、それら過去の影響があったのだろう。だけど、そうやって本当の痛みや恐怖心を抱えられる人間は、身体と魂を分断する別の世界じゃなく、ちゃんと個人としての私がひとつとして存在する世界で不安を抱えながら、それでも時に集団から逃げて生きなきゃいけないのだと改めて思う。【人間らしく(イヌクティトゥット)】あることを人間がもういちど見つけなければいけない時代かもしれない。
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