いるかれもん "ブラフマンの埋葬" 2026年7月15日

ブラフマンの埋葬
文庫本で180ページ程度なのでポケットに入れて持ち運べそうなサイズ感。行間は広く、本を開いただけで、静かな世界感が伝わってきた。ブラフマンと名付けられた動物との日々を綴った物語。ブラフマンとはサンスクリット語で「謎」を意味し、その名の通りブラフマンは一体何者なのか明かされないまま物語が進む。その謎の包み方みたいなところがこの小説の世界観そのものになっているように思う。舞台となる村は石棺職人や碑文彫刻家たちが開拓した村で、木箱と共に川に流された故人の遺体を遺族に代わり埋葬していた。遺体を収める石棺のイメージとブラフマンの謎が重なっているように思えた。また、ブラフマンの描写が、淡々とした丁寧で客観的なものでありつつ、対象を見つめる暖かな眼差しを意識されるような小川洋子らしいものであった。小川洋子作品を読むのは1年ぶりくらいな気がするけれど、改めて自分の好きな作家だなと思った。
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