

いるかれもん
@reads-dolphin
使い方悩み中。小説よりもノンフィクションやエッセイの方が読む割合としては多い。図書館で働いてます。
興味 : 自然科学、図書館情報学、ケア
- 2025年7月11日子どものための精神医学滝川一廣学び!読んでる本当は読み終わったらレビューとか書こうと思っていたけど、忘れないうちに書けるところ書いておこう笑 子どもの発達について大学の講義もとったりしてて何度か勉強したことがあったけれど、これは今まで読んだどの本よりも面白いしわかりやすいし、スッキリしている。400ページを越えるなかなか分厚い本ではある(まだ200ページくらいしか読めていない)けれどグイグイ読み進められる。他の多くの本はおそらく「自閉症」とか「学習障害」とかみたいに病名ごとに解説されていく形式だと思われるが、この本は全然違う。まず、子どもの発達について「認識の発達」と「関係の発達」という2つの軸を張り、この2次元空間の位置から様々な子どもの精神障害を論じていく。だから、多様な話題を扱いつつもスッキリと理解できる(気がしている)。この考え方を知ることができただけでも十分価値があったと思う。もし興味ある人は是非読んでみてほしい。
- 2025年7月10日「好き」を言語化する技術三宅香帆読み終わった学び!感想文章の書き方とか、言語化について書かれた本の感想とか書くのって緊張しますね。でも、こういう本の感想とかを魅力的に発信したいと思って手に取った。 著者は「好き」を言語化するために必要なのは語彙力ではなくて、細分化であると主張しており、その方法が書かれている。細分化とは、「好き」「ヤバい」といった感情について「なぜ?」「どこが?」などといった形で掘り下げていくこと。その方法が体系的に整理されており(たとえば、「好き」であればそれは共感なのか驚きなのか、共感であれば今までの体験や好きなものとの共通点は何か、驚きであれば何が新しかったのかなどなど…)、それがこの本全体の筋だと思う。意外と書かれていることは私自身が日頃意識しているようなものも多く「実は私は良い線いってたのでは!?」と自己肯定感が上がった。それをここまで整理して提示できるのは、著者が書くことに対して真摯に向き合ってきた結果なのかなと思う。一方、「良い線いってる」はずなのに自分でも納得のいく感想とかを書けないのは、「早く読書メーターに登録して、冊数とページ数を増やしたい!」という気持ちで焦ってしまい、確認含め疎かになっているからだ自覚した。なんだかんだ私も数字に踊らされる人間である。本を読むことと同じくらい、自分が書くことも楽しんでいけたらいいなとも思った。 あと、一つ印象に残ったのは、作品全体について感想を書かなくても良い、と書いてくれたこと。これはとても救われた。私は本のレビューを書くとき、どうしても全体の内容について書こうとして、結局途中で挫折して中途半端な(ダラダラ書いてあるけど自分が本当に強く感じた部分についてはサラッとしか書かれていないような)レビューになってしまっている気がしていたのだけれども、「別に書きたい部分を書けばいいのか」と安心させられた笑 そして今回内容ではない部分についてもこの本を読んで感心したことがあった。本のレイアウトについて。重要な部分が太字になっていたり、必要に応じて箇条書きで書かれていたりする。そのためパッと紙面を見ただけで要点がわかり、「ここは流し読みしてもいいかな」とか「ここはメモしよう」という判断がしやすかった。これは紙面の作り方の工夫もあるが、著者の本の構成や文章への工夫の賜物だと思う。また、奥付けには見たこともない数の人の名前が書かれている。普通奥付けといえば、著者、出版者、出版年月日とかくらいしか書かれていないがこの本に携わった人全員の名前が書かれているのではないかというくらいクレジットが細かく書かれている。(一冊の本を作るためにはこれだけの人の手がかかっているのかと改めて思わされる。)こういう情報量の多い奥付けは図書館員的には結構テンションが上がる笑。ぜひこの文化は他の出版社にも広がってほしいし、書誌データにも反映してほしい。
- 2025年7月1日皮膚、人間のすべてを語るモンティ・ライマン,塩崎香織学び!また読みたい最近痒みに悩まされていたりして、皮膚に興味を持っていたところ図書館で見かけて借りてきた。皮膚の複雑な機能から、心理•社会との関わりなどについても詳しく書かれている。一方で、医学に詳しくない人でもわかりやすいように書かれていて驚かされた。皮膚の話を読んでいるはずなのに身体全体のことについて、さらには社会との関わり、心理などについてまで話題は広がっており、皮膚が保つ複雑で多様な機能を思い知らされた一冊。図書館で借りてきたけど買ってきてもいいかもしれない。 巻末に索引があるのもいいですね。 かなりおすすめの一冊
- 2025年6月19日安全に狂う方法赤坂真理読み終わった学び!アディクションについて、よく、何かに依存しているという表面的な現象よりもその背景にある根本的な悩みや困難を解決しなければならないと聞くけど、その部分に踏み込んだ本という印象。読んでいてハッとさせられることはたくさんあったけれど、一番逃れられないアディクションは「思考」であるというのはとても納得できるし、アディクションが誰にでも起こる自然な現象であることが理解できる。セクシュアルに関しては咀嚼しきれていない部分も多い。全体として、著者の経験や、周囲の人からの証言などを中心に構成されていてエッセイとしても良かった。
- 2025年6月18日アリの放浪記 多様な個が生み出す驚くべき社会オドレー・デュストゥール,アントワーヌ・ヴィストラール読み終わった学び!本屋で表紙に惹かれ、後日図書館で借りた一冊。元々フランスで出版されたアリについての本を日本語訳したもの。だいたい5,6ページくらいの短いアリのエピソードがたくさん収められている。調子いいときに読むと面白くて、疲れてるときに読むと途中で話が追えなくなるという少し難しめの本だった。そのため読み終わるのにずいぶん時間がかかってしまった。あと、できれば図表が欲しかった… 多分、元々昆虫に興味がある人であればスラスラ楽しく読めるのかなと思う。私はまた機会があれば読み直そうかなという感じだった。
- 2025年5月30日傷のあわい宮地尚子読み終わったまた読みたい宮地先生の新しい文庫新刊。 1989年から1990年にボストン在住の日本人を対象に行われたメンタルヘルスに関するインタビューをもとに書かれたエスのグラフィー。インタビューは研究目的であり、その成果はパンフレットにもなったそうだけど、研究という枠からはこぼれ落ちてしまった、その人たちの物語が書かれている。 概ねエッセイ集と言っていいと思う。『傷を愛せるか』同様に、著者の研究者としての冷静でフェアな視点が保たれつつ、自身の心情や、インタビューをしている人の描写はとても素直でクリア。極めて平易な言葉で穏やかに語られて、胸にすっと馴染む文章。相変わらず私にとっては憧れる文章。 本書はもともと2002年に刊行された単行本を文庫化したものであるが、インタビューは1989年から1990年と今から35年前に行われている。しかし、その時間の流れはあまり感じない。それだけ、私たちの心って本質的には変わらない。なんなら、ここに書かれているのはボストンに渡った人たちの物語であるが、そうした背景も通り越して、日本で過ごす私たちにとっても深く染み入る。それだけ、心の本質みたいなものを描写しているのかなと思う。 文庫版で230ページ。スマホの代わりにズボンのポケットに入れてても収まりがいい。日常的に持ち運んでたまに読み返したい一冊。
- 2025年5月27日火山のふもとで松家仁之小説ゆったりとした時間の流れの中にある、登場人物の心情や周囲の環境を丁寧に描いている。じわじわと物語世界に自分の心も浸っていった。ゆっくりと読み進めたくなる魅力的な作品。 登場する建築についてもディテールまで細かく書かれていて、その丁寧な書き口が美しい。とにかく美しい 建築の魅力を今まであまりよくわからなかったが、この本を通して興味を持った。 こいう本をいつまでも楽しみたい、そんな心余裕を持っていたいと思う。
- 2025年5月19日読み終わった学び!個人的には痒い所に手が届く、とにかくいい本。気象学そのものというよりは、気象予報、もっと言えば、気象庁の予報業務、予報官の仕事について書かれた本。天気予報で聞くあんな言葉こんな言葉の背景、予報の難しさなどなど…. 著者の実感と思いがこもった一冊、少しエッセイっぽさもあるかも。 特に最終章は実際に著者が予報官として災害対応に直接当たった経験を交えながら気象庁が発表する警報、注意報のあり方などについて考察されていおり、読み応えがあった。 わたしはもともと気候システム科学を研究しており、気象学にも関心があった。ただ、それはあくまでも気象現象そのものの理解に興味があるだけであって防災への応用についてはさほど関心を持っていなかったけれど、関心を持った。 他に類書を読んだことがない一冊。
- 2025年5月16日
- 2025年5月8日学び!感想また読みたい東畑さんの本は「居るのは辛いよ」「ふつうの相談」の2冊を読んだけれど、そこで感じた東畑さんらしさをこの本でも感じた。この本の中で一番具体的な手法が書かれているのは4日目のおせっかいの方法だと思うけれど、心理学の本なのに、生活のお節介に大切にするのが東畑さんらしいのかなって思った。ある意味、心理学の本だと思って読んでいるとすこし期待はずれと感じるポイントでもあるかもしれないけれど、「難しいこと考えずにまずは普通のサポートをすればいい」と思うとそれはそれでなんか気が楽になる笑。 一方、そうした普通のサポートができる関係って今は限られているなとも思う。ネット上で色々な人と繋がることができるけれど、直接会わない限りそうした生活のサポートとかは難しい。直接会う関係って代え難いと改めて思った。 後半の読書案内もありがたいですね。 消化不良気味なところもあるのでまた読み返そうかな。
- 2025年5月5日モンスーンの世界安成哲三読み終わった学び!モンスーンの影響下にあるアジア地域(モンスーンアジア)の風土から経済的な発展、これからの持続可能性などについて、モンスーンの理学的メカニズムから社会経済的側面にまでまとめられた一冊。著者の安成先生のお名前は存じ上げていたが、ご著書を読んだのは初めて。よく一人の著者がここまで書けるなと思わされた。1章から4章までの前半では、アジアモンスーンのメカニズムについて気象学、気候システム科学的側面から(私にとってはとても)わかりやすくまとめられている。大学院で気候科学やっていたのにモンスーンについてあまりちゃんと勉強してこなかったなと痛感させられると同時に目から鱗、痒いところに手が届く明快な解説。「あ、そうやって考えればいいんだ」みたいなモンスーンに対して抱いていたモヤモヤが晴れていく快感を味わった。気象学とかに興味ある方は、ぶっちゃけ前半部分だけでも十分読む価値あると思う。後半は不慣れな分野だったけど、高校の時もっと地理の授業ちゃんと受けておけば良かったなと思わされた苦笑。そういえば家に安成先生が書いた教科書あったけどちゃんと通しで読まないまま院を出てしまった。次はそれを読みましょうかね。 細かいけど5章の生物圏との相互作用はびっくりした。植生ってあんなに水収支に影響するんだ…日本人の感覚だと、「大気中の水蒸気なんて海からでしょどうせ」とか思ってたけど、いやそうとも限らないのね
- 2025年5月1日日本の公立図書館の所蔵大場博幸学び!また読みたい図書館本タイトル通り、日本の公立図書館の蔵書の実態について量的に研究した成果がまとめられている一冊。多分他に類書はないのでは? 感想は、箇条書きですが… * 図書館の蔵書について、「需要」と「質」の2つの要素で考えるという観点を得られただけでも良かった。 * もっと統計をちゃんと勉強しよう * 一方、図書館情報学の量的研究手法に触れられて良かった。 * 昔からの出版社の本(というよりも岩波書店の本)が所蔵されやすいって面白かった * 著者も指摘している通り、出版社のブランドとかで選書するのはたしかにコストはかからないけどやっぱり図書館員が中身を見て選書すべきと思う。書評の活用はかのうせいがありそう(ただ、書評が新聞に載る書籍なんてごく一部であり効果は限定的?) * 内容は面白いけど、かなり専門家向けなので、もうすこしかみくだいて、かつ、図書館の選書のあり方についての議論を深めて新書みたいにして販売してほしいと思った。図書館に関する一般書はちょくちょくあるけど、図書館史かサービス方面の本が多い印象。図書館の根っこにある蔵書構築をメインテーマとした新書とか面白いと思うけどなぁ
- 2025年4月27日夜明けのすべて瀬尾まいこ読み終わった感想小説随分前に購入して積読していた一冊。PMSを抱えた女性(美沙)と、パニック障害を抱えた男性(山添)の物語。共に最初は大企業で働いていたけれど、それぞれの病気が原因で退職し、栗田金属という小さな会社に勤めている。お互いの病気を知ってから距離を縮めて、支えあっていく話ではあるけれど、2人の関係性というか、距離感というか、助け合い方が、ちょっと不器用にも見える大胆さがあったりして(特に美沙が。いきなり山添の家に上がり込んで散髪をしたり、ちょっと強引で押し付けがましく見えなくもないけれど、でも、いそうな気もして可愛らしくも見える)、「いい関係」と思える。作中で大きな事件が起きるわけではないけれど、二人の交流が丁寧に描かれていて個人的に好きな作風だった。あと、栗田金属という会社の雰囲気がとても良い。こんな会社に勤めたい。映画もぜひ見たいですね。
- 2025年4月24日ケアと編集白石正明ケア読み終わった学び!また読みたい愛読している「シリーズ ケアをひらく」を長らく編集していた、白石正明さん待望の著作。 新書ではあるけれど、白石さんが編集をしながら考えてきたことなどがエッセイ風に書かれている印象。 一冊を通して内容が構造化されているというよりも、少しフラフラと書かれている印象。また、カッコに囲まれてたまに話が脱線するところがまた、なんとなくケアをひらくっぽい。そして、読んでみると私がなぜケアに惹かれているのかよ〜くわかる笑。自分にとってしっくりくる言葉がたくさん。例えば… * 科学とはせいぜい因果関係が明確だという程度のこと、登場する変数が少ければ少ないほど際立ってくる、ある意味では閉じられた世界でこそ成立する営みである * 人はなにより環境とのインターフェイスによって行動するのだから、行動の根拠を個人の内面にだけ求める必要はないのではないか などなど。積極性、能動性、目的意識、タイムパフォーマンスなどの効率に迫られる今の世の中に追いつけない、どこか受け身な私にとっては、「それでもいいんじゃない?」と声をかけてくれるような一冊。やってくる素敵な偶然を受け止める余裕を持っていきたい。
- 2025年4月20日情報検索の歴史緒方良彦借りてきた読み終わった学び!う〜ん…期待してた本当は少し違っていて微妙。 本当に歴史を並べているという感じで、それを通してどんなことを伝えたいのかというメッセージというか、話の筋みたいなのが見えなかった。 あと、明確な間違いを一つ見つけてしまって若干萎えてしまった気もする。 通読するというよりも、資料的な使い方がいいかも。
- 2025年4月18日中動態の世界國分功一郎読み終わった学び!また読みたい補遺が加筆され文庫化されたということで、早速購入に読み返した。最初に読んだ時は、自分自身が感じている苦しみとか、世界に対する違和感を見事に解き明かされているような気がして、とにかく自分を救ってくれているという衝撃を伴う感動に飲み込まれた。その一方、今回は、前回同様の感動や面白さは感じつつも、前回よりも丁寧に読み進めることができたと思う。一つ一つのトピックを丁寧に自分の中に取り込みながら読み進めることができた。そうやって落ち着いて読んでみると、改めてこの本は素晴らしい一冊だと思った。文庫本になると、参考文献等含め500ページ以上になる結構長い本であるが、一つ一つの話題を丁寧に、しかし飽きさせない書き振りとなっている。おかげで哲学にも言語にも疎い私でも、何が大切なのかちゃんと受け止めながら読み進めることができた。スピノザ、アレント、ハイデッガー、バンウェニストなど名前だけは聞いたこと(もしくは名前も聞いたことがない)ある哲学者の著作を引用して論を展開しているが、実はそこで問題にされていることが、私たちにとても身近で、私たちの中で起きている問題についてであることを、わかりやすく伝えてくれている。 結局私がどうして中動態の世界に魅了されたのかというと、自分が感じている自分の作られ方が中動態では自然に語られているということだと思う。それは、自分自身が周囲の環境や関係性の中で決まっていて、さらには、周囲の環境と自分自身は相互作用しているという感覚である。その時、私自身は、自分が意志しなくても自然と変化しているように感じることがある。その証拠かもしれないが、私は自分自身の考えや気持ちについても、どこか第三者のことのように表現してしまう。自分の考えや、気持ちが、本当に自分が納得していることなのか自信を持てない。一貫してそれを主張し続けられるか自信がない。こうした私の態度は、側から見たら「考えがコロコロ変わる」とか「意志が弱い」みたいに評価されてしまう態度にも見える。自分自身も、自分自身がそうした人物のように思えて蔑んでいた。 おそらく本書を読まれた方であれば、どうして私がこの本に救われたのか、これ以上説明する必要はないと思う。本書で書かれている能動態-中動態の世界、意志という存在が生まれる前の世界は自分の私自身の捉え方を表現する上で非常に都合が良かった。自分を語る世界観が見つかるというのは非常に感動する。それは、自分自身の感じている寂しさは、私一人だけが感じているわけではないこと、そしてそれを救おうとしている人がいることを実感するからだろうか。はたまた、自分が心地よく過ごせる内面世界を手に入れるからだろうか。いずれにしても、やっぱりこの本に私は救われた。 一方、この本を読んでいて、まだまだ理解しきれない部分も多い。特に第8章、9章、補遺。ぜひまた、私が別の環境や関係性に身を置いて、別の私になった時に読み返したい。本を読むという行為もまた、私と相互作用し、私を変容させる環境の一つである。
- 2025年4月14日情報アクセス技術入門前田亮,西原陽子借りてきた読み終わった学び!また読みたいあまりこういうIT系の技術書のレビューを投稿する場ではないかもしれないが記録のために… 学部生向けの入門書、ページ数も140ページ程度ということで、その道の専門家の人からしたら物足りないかもしれないけれど、素人の私からしたら知りたかったことをわかりやすく概観してくれて大変参考になった。自分が今後深めていきたいと思える分野も見定めることもできた気がする。図書館で借りてきたけどこれは購入を検討。 ちなみに私は図書館員ですが、現代の図書館というのはこういうIT技術に支えられているということも知ってほしい(著者の1人は図書館情報大学出身) というか、図書館とIT技術というのは古くから親和性が高い。
- 2025年4月6日エッセイ読み終わった感想また読みたいもともと、話題になってるし、どうやら大学院での留学体験記らしいから読んでみようかなみたいなつもりで手に取ったけれど、世間の評判通り(あるいはそれ以上?)とても素敵なエッセイ。 研究の話がメインかと思ったらイギリスでの普段の生活の話、特に周囲の方々のお話が多い。そしてそれぞれの人がとても魅力的に描かれていて、自分の友達のようにも思えてくる。著者本人が周囲の人との関係を大切にしていることがよくわかる。また、皇族ならではのエピソードも交えているが、いい意味でサラッと、著者本人にとってはごく当たり前のように書かれていてそれも素敵。とにかく著者本人の飾らない人柄が溢れていて魅力的。そのように、著者の人柄が伝わっているからこそ、博士論文審査にまつわるエピソードについては、本人の葛藤や想いがぶつけられていて感動した。 エッセイならではの魅力が詰まっている一冊。誰に対しても自信を持っておすすめできる。
- 2025年3月29日わたしたちが光の速さで進めないならユン・ジヨン,カン・バンファ,キム・チョヨプ読み終わった感想小説実は韓国文学も、SFにも馴染みが薄がったが、表紙に引かれたという単純な理由で読み始めた。が、しかし、1行として読み手の目を離さない心地よい緊張感のある文章で、作品世界に引きずり込まれたと思う。一つ一つの作品がまるで長編小説を一つ読んだくらいの読後感があった。毎朝通勤電車の中で一作品ずつ読んでいたけど、深呼吸をして、一杯のコーヒーを淹れ、一息つくような、そんな心を澄まされる感覚になっていた。この人の作品はずっと読み続けたい。文句なしで素晴らしい。
- 2025年3月27日その後の不自由上岡陽江,大嶋栄子読み終わった学び!面白かったけど、タイミング的に今じゃなかったのかなって気がする。アルコール、薬物依存症の女性の支援についての本であり、女性特有の問題を多く扱っている。著者自身も薬物依存の経験を持つ当事者であり、当事者の目線から書かれた、依存症当事者の行動や悩みについての整理から、生理についてという女性特有の問題、体の不調について、そして、生き延びるためのキーワードなど、理論から実践まで幅広く扱っている。また、別のタイミングに読み直します。 ちなみに、表紙が素敵。 あと、「回復とは回復し続けること」のオリジナルを見つけられて良かった。
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