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いるかれもん
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@reads-dolphin
使い方悩み中。小説よりもノンフィクションやエッセイの方が読む割合としては多い。図書館で働いてます。 興味 : 自然科学、図書館情報学、ケア
  • 2026年4月7日
    「待つ」ということ
    ずっと読んでみたかった鷲田清一さん。そこまで分厚くないし、すぐ読み終わるだろうと思っていたけれど3週間ほどかかってしまった。途中メンタルの調子が悪くなったりして途切れ途切れに読み進めたのであまりちゃんと理解できていない。途中、ケアの話があって面白いなと思っていたら、最後にこの本が著者が最初にケアについて書いた『「聴く」ことの力』の続編的立ち位置と書かれていた。この本もうちに積んである。もう一度読もうと思ったけど、まずそちらを読んでからこっちに戻ってこよう。待っててね。
  • 2026年3月29日
    傷を愛せるか 増補新版
    そろそろ何回読んだのかわからなくなってきた『傷を愛せるか』。3月の頭のあたりからなんとなく気分が塞ぎ込んでしまっていたとき、何かあるかもしれないと思って久しぶりに手に取った。  今読んで良かった。改めて、なんでいい本なんだろうと思った。  この本を読んでいるときに、一つ大きな出来事があった。新年度から、仕事の部署が変わることになった。希望する部署に配属になるので、嬉しい一方、難易度の高い業務であり不安感も募る。また、就職する際に現在の職場で働くことに最初、父親にとても反対されたのだが、まさにその原因ともいえる部署でもあったからだ。「また親と揉めるのではないか」、「果たして自分がやっていけるのか」、まだ何も始まっていないのに不安ばかりが心に満ちていた。  その時、私が開いたページにはこんなことが書かれていた。 「変わるときというのは、変化にほとんどのエネルギーや注意を費やさなければいけない。そのため、外からの攻撃にたいしては無防備になる。外敵が来ればたちどころにやられてしまう、ヴェルネラブル(脆弱)な状態である。」(「開くこと、閉じること」『傷を愛せるか』p.62) 「あぁ、今の私だ」と思った。新しい環境に挑むために、私は今脆弱になっているのかと。 おそらく、この本の文脈から読み取れる意味と、今の私の状態は必ずしも一致する状態ではないと思うけれど、「変化するとき脆弱になる」ということを教えてくれただけで、何かとても安心した。別に、それで親や、新しい部署への不安要素が消えるわけではないけれど。安心した。 この本の本編に書かれている最後の文章を、私は何度読んでもその度に、心に染み渡る何かを感じてしまう。 「傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷のまわりをそっとなぞること。身体全体をいたわること。ひきつれや瘢痕を抱え、包むこと。さらなる傷を負わないよう、手当をし、好奇の目からは隠し、それでも恥じないこと。傷とともにその後を生きつづけること。  傷を愛せないわたしを、あなたを、愛してみたい。  傷を愛せないあなたを、わたしを、愛してみたい。」 (「傷を愛せるか」『傷を愛せるか』p.226) 「傷」をたとえ治せなくても、そこに「傷」があることを認め手当すること。それだけでも、少し、私の緊張は解ける。私の今の不安を簡単に「傷」と言えるかわからないけれど、今回まさにこの本により、私の不安は、そこにあると認められて、手当されたように思う。 今この時期に読めて本当に良かった。他にも改めて感銘を受けた文章もたくさんあるが、またどこかでまとめたい。これからも、この本を、大切に読み続けたい。何度でも、何度でも。 (なお、部署異動の件を父親に報告したところ、特に何か言われるでもなく応援してくれた。就職の時に揉めたという「傷」が後を引いているのかもしれないが、なんにせよ応援してくれるということで安心した。)
  • 2026年3月24日
    「本をつくる」という仕事
    就職する前にこの本を読んで、本に囲まれた生活、本に携わる仕事をできることが本当に幸せだと思わされた思い出の一冊。改めて読み返してみても、「あぁ、本っていいなぁ」としみじみ思わされた。「本をつくる」仕事というと、著者、編集者くらいしかなかなか思い至らないが、この本を読むと一冊の本にさまざまな立場の人が関わっていること、それぞれの立場から本に対する情熱やこだわりを持って本を作っていることを感じて、手元の本がとてつもなく愛おしく感じる。久しぶりに読んで改めてそんな気持ちになった。自分にとって一つの原点だと思う。
  • 2026年3月16日
    迷うことについて
    迷うことについて
    まとまらない感想をまとめないで投稿する。 全体として、なんとなくぼんやりとした、つかみどころのない、でも、読んでいてなんとなく心地よいような文章で、感想をうまく言葉にまとめられない。 あとがきにも書かれているけれど、この本で取り上げられている「迷うこと」ってのは、広い意味で、(内面的な意味を含め)人が失われる、紛れる、消える、見えなくなることなどを扱っている。 この本のカバーと取ると現れる、本体の深い、濃い、青が印象的。恋人が、青って迷いの色と言っていたことが印象的。目次を見ると、9章構成のうち2,4,6,8章のタイトルが全て同じ「隔たりの青」である。そこには色々な意味が込められているけれど、でも、海の底とか想像すると納得できるような。 印象的な言葉を2つ 「待ち人が現れないとき、人は何かが起きたのだろうと語りはじめ、遁走や誘拐やら事故やらがあったに違いないといくらか思い込んでしまうことがある。心配する、というのは自分が知ることも制御することもできないものについてそれができる振りをするする方法なのだ。」(p.181) 「わたしたちはまるで、例外を法則のように取り違えて、いずれすべて失ってゆくということよりも、たまたま失われずに残っているものを信じているようだ。」(p.204) 多分、何回か読み返すと思う。
  • 2026年3月12日
    聞く技術 聞いてもらう技術
    今回そんなにメモとか取らずに気軽に読み進めたので淡白な感想ですが… 東畑さんの本って、難しい心理学の概念を持ち出すわけではなく、私たちにも身近で、つかみどころのある行為を手掛かり(完全に私の捉え方だけど、ハード面に着目している印象)に話が進んでいくことが特徴だと思うけど、この本も「聴く」ではなく「聞く」「聞いてもらう」ことに着目していた。だから、読んでいて「あ〜なるほど、たしかにたしかに」みたいに思うことが多かった。聞く技術、聞いてもらう技術共にまず小手先のテクニックが紹介されるのが面白かった。特に聞いてもらう技術って他で読んだことなくて面白かった。Zoomに最後まで残ろうとか、めっちゃ「あ〜」ってなった笑。大きな集まりの後の帰り道で少し深い話したりとか、そういう時間好きだったなぁ。
  • 2026年3月9日
    迷うことについて
    迷うことについて
    何度か読もうとして、その度に別の本を結局読むことにしてを繰り返し…ようやくちゃんとページを捲り始めた まだ一章しか読んでないけど、この本は多分何回も読む気がする カバーに隠された鮮やかな青が好き
    迷うことについて
  • 2026年3月2日
    深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第3版
    深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第3版
    1週間で合格できるのかチャレンジ 試験まであと6日…
  • 2026年2月25日
    写真講義
    写真講義
    この前読んだばかりだけど、あまりいい感想を残せなかったのが悔しくて早速再読した(笑)。ただし今回は、前回読んであまり興味を持てなかったフィルムカメラの細かな使い方の話などは大胆に飛ばしてサクサク読み進めた。  別にうまくはないけれど私も写真を撮るのが好き。それは自分が見た景色を、なるべく見たままに保存したいと思うからだけれども、この本の中にはこんな一節があった。 「写真とは、現実に見えているようには写らないのだということを知っておいてください。実際にはもっと明るかった、暗かったということだけを言っているのではなく、私たちの視覚が習慣的に行なっている修整は、カメラでは記録されないということです。」(p.93) そもそも私は無理なことをしようとしていたらしい…ただ、著者はこう述べる 「「見えているように撮る」というのが、まずは写真に近づくこと、接近することのプロセスを暗に示しているのです。その後に続く操作はどれも、よりよく伝達するため、見ているものと写真に部分的に写るだろうものの差を詰めるためのものです。これが写真の目指すべき方向で、現実をコピーするために探求するのではありません。写真は文体のように多義性をもち、語彙を持ち、内的理論を用いる、リズムをもっているます。こうしたすべての価値は、コピーにはないものです。」(p.93) 見ているままを写しきれないからこそ、何をどう写すのかという問題が生まれ、わたしの写真になるのだと理解した。一眼レフを買って何年にもなるけどいまだに使い慣れない。これからも四苦八苦しながら撮り続けたい。
  • 2026年2月23日
    やっと言えた (シリーズ ケアをひらく)
    カウンセラーが解説するカウンセリングの本は何冊もあると思うけれど、この本は著者がカウンセリングを受けながら自分自身の解放に向かう過程が書かれている。 著者の自身の感情や変化、記憶の描写が鮮明で、かつ時折フィクションを交えて書いているからだと思うけれど、小説を読んでいるような読み心地だった。 前半で、著者が他人は自分をわかってくれないから本の中に救いを求めていた姿は印象的だった。 「わたしがずっとすがってきた文学は、わたしの唯一の友達であっただけでなく、わたしが新しい世界を信頼するために言葉と力を与えてくれるものだった。」(p.33) 本ってやっぱりそういう作用があるのかと、こうして書かれると説得力がある。 また、他者に自分をわかってもらいたいと思いつつ、同時に誰にも自分は理解されないと感じるということが語られる。 「人が自分の話をするときには必ず「わかってほしい」と願う。わたしは自分の全存在をかけて毎回毎回、自分の言葉で語ろうとしていた。これまで誰にも自分の話をちゃんと聞いてもらえていない、誰もわたしの話を理解してくれはしないという思いがあった。だから切実にわかってほしかった。けれども同時にわかられてたまるものかとも思っていた。」(p.42) 少し違うけれど、私もかつて強い孤独感を抱えていた時期があって、そのときに「誰かに好かれたい。でも、自分が好かれるはずがない。」と思っていて、そんな感覚を思い出した。 カウンセラーとの緊張感のある、ギリギリの交流の末、最後、著者が自らを解放するものが「愛」であると辿り着く。しかし、その愛が叶うとかとういうのではなく、愛を必要としていると言葉にできたことで著者の苦しみが解放に向かうところも印象的だった。自らを表す言葉が見つかることの安心感や開放感はやっぱり重要で、私自身。これからも大切にしたい。 また、後書きで語られた「待つ」ということについての記述も印象的。 「わたしはわたしの話を初めて聞かれたと思った。特に大きかったのは、話を聞き出されるのではなく、「待ってもらえた」という感覚があったことだ。「待たれる」ということは、そこにわたしが「いる」ことを認め、尊重してもらうことだ。「待たれる」ということは、そこにわたしが「いる」ことを認め、尊重してもらうことだ。それは「わたしにとってあなたは大切な人です」というメッセージを与えることであって、互いのその信頼があってこそ「信じて頼る」ことが可能になる。」(p.183) そういえば、積読の中に鷲田清一の「「待つ」ということ」があった。近いうちに読みたいと思う。 以前、同じ著者の「庭に埋めたものは掘り起こさなければならない」を読んだ時は触れることに興味を持って伊藤亜沙の「手の倫理」を読んだ。斎藤さんの本を読むと、新しい本を読みたくなる。
  • 2026年2月21日
    新書772ゴーストライター論 (平凡社新書 772)
    「ゴーストライター」と聞いていい印象を持つ人はいないと思う。私もそうだったし、この本も、出版業界の闇を暴くみたいな話かと思って手に取った。 しかし、実際に読んでみたら全く想像と違う本で、ゴーストライティング、さらにはライター業の喜びやテクニック、ライターとして働く上で注意すべきことなど、読みやすくまとめられていていい意味で裏切られた。 ゴーストライティングとは、著者へのインタビュー、調査、周辺取材などを重ね、著者の言葉や考え、伝えたいことを幅広い読者に届くように文章にしていくことである。それは決して簡単なことではなく、高度な技術が必要であるし、ときには著者本人が自覚していないような人格などを掘り起こす喜びがあると書かれている。私は、別にゴーストライティングの経験があるわけではないが、会議の議事録とかまとめる作業を思い出すと、単に発言を文字起こしするだけでは不十分で、発言の意図が明確になるように分かりやすく、読んでいて違和感ない形にまとめるのは結構難しい。 実際に出版された本について、その出版過程が詳しく紹介されている点も面白かった。『矢沢永吉激論集 : 成りあがり』の企画から出版までの流れ、ライターではなくコピーライターの糸井重里が執筆した理由や、普段本を読まない人でも読みやすくするための工夫など「へぇ〜」って思った。 他にもライター業を行う上で役に立ちそうな具体的な話が多く、トラブルを回避するために大切なことや、契約書の例なども掲載されている。 そして、この本を通して著者が最も伝えたかったのではないかと感じたことは「ゴーストライティングからチームライティングへ」ということだと認識した。世の中に対してかけがえのない価値を持っている著者、それを構成して内容を研ぎ澄ましてわかりやすく文章化できるライター(=現状のゴーストライター)、このチームをしっかり支え著者の主張を「商品化」することができる編集者が揃うことで、各々の力だけでは生まれない素晴らしい書籍が生まれる。それは「チームライティング」として考えるべきである主張だ。別に私はライターではないけれど、仕事で執筆をしていると「チームライティング」というものは強く感じる。たとえ、私の単著であっても、私がその原稿の全てをコントロールできるわけではなくて、さまざまな人の確認を得て原稿がブラッシュアップされていく。多分、世の中の出版物の多くはそのように、多くの人の力でできているだろうから、「チームライティング」の考え方が認められることは、そこに関わる多くの人の権利を守るためにも必要だと思う。 ちなみに、最近は「構成」などという形でライターがクレジットされることも多いとのこと。ためにし本屋のビジネス書コーナーで何冊か奥付けを確認したら結構「構成」という役割表示が多かった。多分、想像以上に世に中の本はゴーストライティングによって書かれているのだと思う。 まとめると、ライターに興味がある人であれば、その喜びも、実際も、ライター業として収入を得るためのコツもよくまとまっているので大変おすすめ。
  • 2026年2月17日
    写真講義
    写真講義
    正直難しかった…でも、ときおり挟まる実際の写真が良くて最後まで読み進めることができた。正確な記述は忘れてしまったけれど、光の筆で描くみたいなことを言っているような気がして、自分が写真撮るときに光をあまり意識していなかったなと思った。時折、「あ、わかる」と思いつつ、今回あまりちゃんとメモを取らなかったので、もう一度読み直したい。『明るい部屋』も含めて。
  • 2026年2月11日
    町の本屋はいかにしてつぶれてきたか(1079)
    うちの最寄り駅にも小さな書店があり、以前1回くらい立ち寄ったことがあるが、さほど興味のない雑誌の書棚が店内の半分を占め、書籍の品揃えも微妙だなと思いそれ以降立ち寄らなくなってしまった。普段、都内に勤めているので、よくいく本屋といえば、都心の大型書店。品揃えも良くて、店内を歩き回るだけでも気になる本が目にとまる。行くだけで楽しい。買う本は何だかんだ最近は文庫本が多い。物価高になったとはいえ、外食一食分くらいで購入できるからお手軽な価格だと思う。多分同じような読書習慣を持つ人は多いと思う。しかし、この本を読むと、そうした読書習慣の皺寄せが町の本屋を潰してきたとことがよくわかった。昨年末、最寄りの本屋も潰れてしまった。  サブタイトルにもある通り、戦後、(町の)書店が生き残りをかけて取次、出版社、公取、コンビニエンスストアなどなどと戦ってきたことが克明に描かれている。その中で印象的だったのは、書店への配本は取次が牛耳っておりベストセラーなど人気の商品は、大型書店に優先的に配本され中小書店には回ってこないこと(必要部数が届かないとか)。最寄りの本屋の品揃えが悪いのは本屋のセンスが悪いとかではなく構造上の問題だった。また、戦後の物価上場の中で書籍の価格上昇は低かったが、収益を出すためにはその分大量に刷られた。そのため輸送費が問題となるがその皺寄せも書店に。文庫本をよく買う身としては耳が痛い。図書館員としては10章のTRCについては目が離せなかった。そのほか様々な問題があったが、最終盤、最強の書店としてAmazonが登場し、町の小さな本屋どころか大型書店もろとも駆逐していく様子は読んでいて虚しくもなった。  専門的な内容であり、私自身理解できていない部分もあったが、こまめにまとめが書かれておりそこを読むだけでも価値はあると思う。(ぜひもう少し大きな版で『図解 町の本屋はいかにして潰れてきたか』とか出してほしい。)出版業界の人だけではなくて、本が好きな方であれば、こういう書籍流通の本も読んでみるのもいいのでは?
  • 2026年2月5日
    つくられた日本の自然
    無知な私にとっては到底一読して理解できたわけではないけれども、読んでよかった。序章でさまざまな哲学者の名前とかが出てきて先行き不安になったが、第1章以降はじっくり読めば一応読み進めることができた。日本庭園には砂利が敷かれているのは、穢らわしい地面を見せないためとか、四足歩行の動物は食べちゃいけないけど、兎を「羽」で数えることで鳥とみなしたり、猪を「牡丹」、鹿を「紅葉」などと読んで食用にできたとか、言われてみればなんでだろうという日本の風習についていくつか背景を知ることができてよかった。文化人類学や哲学を学んでもう一度挑戦したい。
  • 2026年2月2日
    月まで三キロ(新潮文庫)
    前回読んだ『八月の銀の雪』に引き続き相変わらずジオジオしくて(?)爽やかな短編集。地球科学系出身の私はウキウキしながら気持ちよく読み切ることができた。短編集読んでいると途中で飽きてしまうことも多いのだけれど、伊与原作品はそんなことが全くなくて、本当に読んでいて「楽しい」「面白い」と思う作品がとても多い。「天王寺ハイエイタス」とか、私がもろに専門にしていた古気候学がテーマになっていて胸が熱くなった。地球科学をはじめとした科学の魅力が物語を展開する鍵となっていて、読んでいて「そう!そうなんだよ!そこがいいんだよぉ!」みたいな気持ちになる。  その中でも印象的な言葉もあった。特に「アンモナイトの探し方」で出てきた、「わかるための鍵は常に、わからないことの中にある。その鍵を見つけるためには、まず、何がわからないかを知らなければならない。つまり、わかるとわからないを、きちんとわけるんだ。」という言葉は、大学院時代に指導教員からよく同じようなことを言われていた。当時は研究を進める中で言われた言葉だけれど、仕事をする中でも、同じことは言えて今でも大切にしている考えである。  最後の「山を刻む」の主人公の決断は、展開としては突飛な気もしたけど、それ以上に鬱屈とした気持ちが吹っ切れた爽やかさを感じた。  小難しいこと考えずに爽やかで面白く、気軽に読める短編をお求めの方、是非是非。
  • 2026年1月31日
    書籍修繕という仕事
    書籍修繕という仕事
    再読。やっぱりいい本だった。一つ一つは短いエピソードだけれども、どこかホッとされられる部分があって、一章読むことに少しぼんやりしてしまった。著者が買ったばかりの本をわざとかばんに入れて持ち歩き少し傷んで来たら読むタイミングと書いていた。私も買ったばかりのパキッときまっている本よりも、少し読み始めてカバーの端が折れたりして、紙が柔らかくなって手に馴染んでくるくらいが好き。そうした過程を「本と親しくなる」と表現していて、「あぁ、そうだなぁ」ってしみじみした。紙の本を愛する全ての人におすすめ。
  • 2026年1月28日
    荒野 (文春文庫 さ 50-8)
    確か中学生のときに図書館で借りて読んだような。「面白かった」という記憶だけで、しばらく前に購入してそれっきり放置していた。 主人公の少女「荒野」が中学に入学してから高校生の16歳までを描く、青春小説。中高生特有の異性、友達との繊細な人間関係とか、性への興味とか、読んでいてこっちが恥ずかしくなるくらい生々しく書かれている。他方、荒野の父親(恋愛小説家)の女性関係がドロドロしていて(しかもそれを小説のネタにする)、親のそういう側面が見えてしまうのは嫌じゃなぁと思った。よく中学生の私はこれを読んでいたな…
  • 2026年1月20日
    書籍修繕という仕事
    書籍修繕という仕事
    久しぶりに読み返しているけれど、前読んだ時よりもずっといい本に思える。本に愛着があるほどこの本は好きになるような気がする。
  • 2026年1月16日
    日本の天気
    日本の天気
    多分大学3年生くらいの時に購入したものの、図表の読み取りがうまくできずに何度読んでも挫折し続けた思い入れのある一冊。学生時代、長期気候変動を専門としていたため気象学についても基本的な理論は勉強してきたが、日々の天気の変化については門外漢に等しかった。そんな私にとってこの本をちゃんと理解することは一つの目標だった。この度天気図や衛星画像の読み取りについて勉強したので改めて読み直した。今まで挫折していた部分も多く理解できるようになった気がして嬉しかった。自分自身で観測データを読み取れると、一つレベルアップしたような気がする。それでも、メソ対流系とか竜巻とか積乱雲の中の流れとか、地衡風近似が効かないようなスケールの話はやっぱり苦手でまだまだ修行が足りないと感じる。まだ宿題は残ってるし、読み返さないとなぁとも思った。
  • 2026年1月8日
    ある行旅死亡人の物語
    ある行旅死亡人の物語
    現金3,400万円を残して亡くなった女性、自称、田中千津子。なぜか身元の特定に繋がるようなものは何も残されていない。彼女は一体何者なのか。二人の記者による取材の記録。仕事帰りに図書館で借りて、電車の中で読み始めたけどあまりに面白くて本屋で買ってきてしまった。2日で1冊読み通したのは久しぶり。それくらい夢中になってしまった。  記者の地道な取材の様子、そこから一つ一つ新しい事実が明らかになる過程にとても興奮した。すでに弁護士も、警察も、探偵も調査してもわからなかった謎を、二人の記者が解決していく。何度も謎の解明に繋がる糸が切れてしまいそうになるが、その度に奇跡のような出会いによって、糸が繋がる展開にハラハラドキドキさせられた。あまりによくできていて、ミステリー小説を読んでいるように、本の世界に没頭してしまう。しかし、時折掲載されている写真の圧倒的リアリティに「これは現実の話だ」と突きつけられて、その度に目を覚ますような気分になった。
  • 2025年12月29日
    地球の果ての温室で
    地球の果ての温室で
    以前読んだ『私たちが光の速さで進めないなら』のキム•チョヨプの長編小説。相変わらず翻訳とは思えないくらい、とても読みやすく好みの文体だった。今回は多くの世界の動植物が死に絶えた世界を生き抜いた人々の話ということで、人が殺されたり、殺されそうになったり、争いが起きたり、なかなか緊張感のある世界感だったけれど、久しぶりにそういうハラハラドキドキも楽しめたと思う。あと、「ダスト」という植物の蔓延で外に出られない世界ってコロナ禍にも重なった。著者のあとがきまで読むと、「植物」にとてもこだわった作品だとわかる。著者の父親の「植物はなんにでもなれる」という言葉が印象的だった。
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