
風邪ひき
@damdamdan
2026年7月16日
怪しい来客簿
色川武大
読み終わった
10代の頃に親友から『好きそうな本だから』と薦めてもらい、以来、何回目かの読了。本当に素晴らしい私小説の傑作。
色川武大の観察眼、世の中というものをどこか虚無的に捉えつつ、それでいて甘えられるものにも飢え、冷徹な目と人懐っこい目を往復する。常にユーモアがあり、同時に怪談話のような緊張感がある。読書だが、触感、がある。
私小説といえど、リアルな描写で描かれるのは戦中・戦後の生活、消えていった芸人やスポーツ選手、死んだのに会いに来る人、狂ったもの、異形のもの、etc.
それら色川武大を取り巻く世界が、生と死や現実非現実の垣根を越えて同じ距離感で並べられている。シュールレアリスム(超現実主義)とかマジックリアリズムと呼んでも差し支えないと思う。ただ、全ては色川氏による私小説として、彼が生きている世界として描かれ、そこから導き出される人生観が深く胸をうつ。
本作は泉鏡花賞受賞。直木賞候補にもなったが、その年は受賞者なしとなった。翌年『離婚』で色川氏は直木賞をとるが、僕はこの『怪しい来客簿』に直木賞を与えるべきだったと、ファンとして思う。









