
すーどん
@Su_Udon
2026年7月16日

躯体上の翼 (創元SF文庫)
結城充考
読み終わった
荒廃した世界、黒くて巨大なアーキテクチャ、愚かな軍人、人造物の戦う少女の出てくるお話が、悲哀を感じる温度の低い文体で綴られている。
主人公の少女、員はもう文書しか残っていないネットの上で出会ったcyという友人を守るため、211隻の戦艦に1人で立ち向かう。そして、自らに組み込まれた道具であるという意志に抗い、“人間であろう”とする。
一方で、船団の旗艦に乗り込む高等師団長は早々に人を解かれ、情けない姿を晒し続ける。軍のシステムであろうとしても、軍人の矜持の下に死のうとしてもそれは叶わず、“人間であってしまう”。
この2人の対比が特に美しい。他にも絶望的に人望のない軍人だったり、復讐に燃える娼婦だったりさまざまな人物の思惑が絡み合い、人が死んだり死ななかったりする。不条理だけどそれが戦いであるという冷たさ。
ラストはとても悲しかった。その悲しさが、もう一歩届かなかったその姿が美しくもあるのだが。

