いち。 "虎と月" 2026年7月16日

虎と月
虎と月
柳広司
「私の目に映る”ものたち”はおそらく、はじめからそこにあるのではないのです。かれらは私が名前をあたえることで、ことばにすることで、はじめて私の世界に立ち現れてくる。”ものたち”は、名前があたえられることで、はじめて無名性の世界から抜けだして、私の世界に存在するようになるのです。」 行方不明の父親が虎になったと聞いた。そんなわけないだろうと思いながら出会った不思議な詩から、父親が虎であると確証を得る。このままでは自分も虎になってしまうかもしれないと不安に思ったとき、少年はすでに旅に出た後だった。 『山月記』を息子の視点で描いた話。学校で習ったけど、断片しか覚えてないなぁというのが読んだきっかけ。あとがきで書かれている「原作が好きすぎて、擦り切れるほど読んだことで生まれた新しい形」というのはいい話。自分が好きな物事の影響は新しい風を吹かせる可能性を持っているんだと実感できる。
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