
人工芝
@_k55y
2026年7月16日

Mother
坂元裕二
読み終わった
「母」という言葉に宿る意味を増やすのではなく、
その輪郭を静かに揺らしていく物語だった。
人は誰かを守ろうとするとき、正しさだけでは歩いていけない。
愛情はときに理性を追い越し、常識では測れない選択へと人を導く。
本作は、その危うささえ否定することなく、
ただ一人の人間の切実な願いとして描き出している。
坂元裕二の紡ぐ言葉は、声高に感情を語らない。
だからこそ、行間に滲む沈黙やためらいが、読者の心にゆっくりと染み込んでくる。
言葉にならなかった想いほど雄弁であることを、この作品は静かに教えてくれる。
読み終えたあとに残るのは、答えではなく余韻だった。
「母」とは血縁なのか、記憶なのか、それとも誰かを守り抜こうとする意志なのか。
その問いは物語を閉じても終わらず、読者の中で静かに息を続けている。そんな一冊だった。
涙腺崩壊するので運ん読する際には気を付けてほしい。



