
mayu
@yatsu_books
2026年7月16日
ボイジャーに伝えて
駒沢敏器
読み終わった
@ 自宅
「I'm here.」
「I'm glad you are there.」
私はここにいます、
あなたがそこにいてよかった……。
宇宙の闇を音もなく突き進むボイジャー。
作者はボイジャーに誰を重ね、なにを託したのか。
セント・ギガという実在したラジオ局に触発され自然音の採取をする主人公、公平の旅路と、彼を支える恭子の日常を並行して描きながら、「生きる」とは何か、「死」とは何かという根源的な問いを私たちに投げかけてくる。
それと同時に、著者の紀行作家としての経験と、世界に対する深い洞察が込められた本書は、単なる小説という枠を超え、私たち自身の存在意義を問い直すきっかけとなるような、示唆に富んだ作品でもあると感じました。
宇宙の深遠へと孤独な旅を続けるボイジャーの背を追うように、少しばかりの諦観を抱いて、半ば惰性を貪るように生を包含した死を受容しながら生きていかなければならないそれらの問いを、自分なりに理解しようとしたときこの作品がとてつもなく壮大で、そして深い闇を抱えていることに気づきます。
その答えは作者が亡くなられた今では、自分なりに想像するしかないけれども、この世で生きている限り、その問いは永遠に自分への課題のようにも感じられました。
読んでいてどこか懐かしく感じたのは、ある作家の世界感を思い出したから?著者の『語るに足る、ささやかな人生』がとても良かったので選んだ一冊ではあるけど、これからも少しずつ読み進めていきたい作家です。



