名無しの積読家 "十戒" 2026年7月18日

十戒
十戒
夕木春央
読了。 読み進める中で犯人の目星はついた。 限りなくネタバレになってしまうが、アガサ・クリスティの「あの名作」と似た構図の作品だ。 本作では、現代ミステリの難敵である「スマホ」を封じ、クローズドサークルを成立させるための特殊な状況が設定されている。ただ、前作『方舟』よりも少し強引さを感じた。 前作では、電波の届かないところにあるシェルターというそもそも外部と連絡ができない環境という自然なものであった。 しかし今作では犯人からの「十戒」という脅迫によって外部との連絡を制限されている。 この制限が効力を持つのは舞台である枝内島に大量の爆弾があり、犯人の手元にそのスイッチがありいざとなれば爆破させられるという前提があるからだ。 この「大量の爆弾」というノイズ要素が、ミステリー作品に絡んでくるのは新鮮でもあり、奇妙でもある。 そしてラスト、前作『方舟』との繋がりが示唆される。前作の「謎の宗教団体」に続き、今作の「大量の爆弾」も謎のままだ。次作『楽園』で、さらなる謎が生まれるのか、それともすべての線が繋がるのか。期待が膨らむ。
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