
まろ
@maro
2026年7月18日
カメオ
松永K三蔵
読み終わった
図書館本
短く読みやすいのに濃密でよかった。
主人公は人がいいのに貧乏くじを引かされ、とにかく理不尽な思いをする。会社でのやりとり、クレーマー対応、マンションのお目付け役、犬、兄一家とのやりとり…。
物語終盤の叫びは、そうした日常の鬱屈から自由になりたい、でもなれないから代わりに犬に託して、という叫びに聞こえる。
終盤のカメオを野に放すか飼うかの葛藤がとてもリアル。カメオのためを思うと…でもこれは自分のエゴなのでは…いやしかし…という逡巡とは裏腹に、幕引きは呆気ない。静かな別れと静寂、虫の音、名前を呼ぶ叫びといった音のコントラストがすばらしい。悶々を晴らすカタルシス。
ロードバイクで始まってロードバイクで終わる構成や、「カメオ」という名が、最初はクレーマー男の名前、次に犬の名前、最後に主人公のあだ名になる構成がうますぎる。読み終わってタイトルの『カメオ』に唸る。
犬があまり可愛くないのもよい。でも憎めなくて、自由に山を走り回っていてほしいと願わずにはいられない。