
くん
@kun
2026年7月19日
エミリー・ワイルドの妖精事典
ヘザー・フォーセット,
原島文世
読み終わった
出版社のXでの紹介を見て読みたくなって手に取った。
主人公のエミリーはケンブリッジ大学の教授で、樹木妖精学研究者。
フィールドワークで各地の伝承や妖精を調査する、ごくごく平凡な見た目の女性。
少し人付き合いが苦手で、話すことも苦手。
そんな性質が災いし、北極圏に近いリョースランド島での妖精フィールドワークは村人たちの協力を得られず前途多難。
後からひょっこり現れて、図々しくエミリーの研究に合流した同僚のライバル、バンブルビーはその美貌と人当たりの良さと軽やかな口であっという間に村人に溶け込み、図らずもエミリーの研究が進めやすくなる。
相容れない2人の対立と協力体制を軸に、リョースランド島フラヴンズヴィク村の人たちとの交流と、妖精フィールドワークの物語が、エミリーの日記として綴られていく。
全く正反対のエミリーとバンブルビーなのに、同僚やライバルという関係を超えた関係性。
物語はエミリーの日記と時々挿入される注釈で書かれていて、最初注釈で引用される学術文献や本、伝承が本当にあるのかと信じ込んでしまった。
研究者の日記という形態のせいか、客観的に世界や自分を分析し、淡々と綴られていて読みやすかった。
物語の世界線では、妖精は一般に認知され、希少生物として研究対象にされている。
読んでいると、自分が認識している妖精よりもグロテスクで、「隣人」呼ばれるように身近な存在なのだと理解した。
物語は予想を超える展開で、でもファンタジーというよりも現実的だった。
結末までたどり着いた時、さらにエミリーの物語が読みたくなった。
全三部作との事なので、これからの翻訳が楽しみだ。
