

くん
@kun
福岡在住の本好きです。読書会にもちょこちょこ参加。ミステリー、SF、純文、エッセイ、なんでも読みます。
- 2026年10月8日
陽の光が消えた町でナオミ・クリッツァー,桐谷知未読み終わった遠い未来や宇宙の話ではなく、一年後くらいにありそうな少しだけ未来で、人々の希望や繋がりの物語。 池澤春菜さんがこの本を「ホープパンク」と表現していて、確かにどの短編も希望を持って戦っている人たちばかりだった。 一番好きだったのは表題作の「陽の光が消えた町で」。 物資もインフラも不安定な中、地区の人々が自分の時間や特技も含めて物々交換をして助け合って暮らしている姿は、「コミュニティ」のつながりの強さと、「コミュニティ」の持つ希望が感じられた。 AIの話2本が入っていて、「デジタル社会の歩き方」で感じた今の時代の問題点が、別角度の解決策を提示されているように感じられた。 読む順番とタイミングが絶妙だったみたい。 「人は意思決定を少なくし、屋外で過ごして、車をなるべく使わず、従来のソーシャルメディアに費やす時間を減らすほど幸せになる。」 この一文に、SNSと距離を置き、スマホから手を離し、アナログな日々の大切さを改めて感じられた。 - 2026年9月23日
デジタル社会の歩き方竹田ダニエル読み終わったインターネットから受ける影響や社会的な価値観の変化、カス化するSNS、AIスロップ、AIが起こす「脳の腐食」、AIサイコーシス、SNSが息苦しい…。 気になりすぎる内容ばかりで読まずにいられなかった。 特に読みたかったのがオフラインについての章。 最近のSNSを見ていて感じるアナログへの回帰。 紙の本を読んだり、編み物をしたり、フィルムカメラやチェキを使って写真をプリントしたり、有線イヤホンや昔の音楽プレーヤーが流行っていたり、それらの行為は一体なぜなのだろうと気になっていた。 この動きは、単なるアナログ回帰ではなく、「自分の時間と記憶をどこに預けるか」という本質的な問いが込められている。 現代はインターネット空間に常に繋がっている。 ログインすることよりもログオフすることの方が、強い意志を必要になる。 どこまでをオンラインに委ね、どこからオンラインから切り離すのかという線引きを、自分の手に取り戻そうとする「抵抗」の試み、という表現がすごく腑に落ちた。 「アナログな時間を求める欲望は現実逃避ではなく、むしろ現実と向き合い続けるための緩衝地帯を確保しようとする試みとして捉え直す」 という著者の考えに、SNSで流れてくる彼らの空気感が、解像度を上げて、言語化されたような気持ちになった。 ネットが人間に与える影響について、細かい取材や観察にもとづいた記録であり、特定の結論はない。 誰もが同じインターネットを見ているわけではない時代で、インターネットと社会と人間を理解するためのスタート地点としての気付きを与えてくれる本だった。 - 2026年9月22日
- 2026年9月15日
コブの怪しい魔法使いシャンナ・スウェンドソン,今泉敦子読み終わった衝撃的な3巻の結末を読んで、気になりすぎて4巻をすぐに手に取ってしまった。 離れ離れになったオーウェンとケイティが気になりすぎて一気読み。 と言っても恋愛要素は薄め。 舞台はニューヨークを離れて、魔法と無縁のケイティの故郷テキサス。 魔法と無縁と思われつつ、でもしっかり今回も魔法と妖精がたっぷり出てくる。 舞台がテキサスのコブの町なので、これまで話の端々に出て来ていたケイティの家族が一気に登場。 父母だけでなく、3人の兄たちも個性的で、こんな家族だから、勇敢なケイティが育まれたのだなーと感じられた。 家族の中でも1番強烈だったのがケイティの祖母。 キレッキレの発言が強烈だったけど、この祖母が大活躍だった。 前作に登場したフェアリーゴッドマザーも登場して、ケイティの家族やコブの町の人たちも参戦し、これまで以上に登場人物が多かったけど、混乱はなく、総決算なドタバタ具合で今回も楽しめた。 前回はソワソワさせた結末だったけど、今回はスッキリな結末。 4巻で最終巻かと思ったけど、話はまだ続くようで、そろそろ次がクライマックスなのかな? 全巻すでに購入済みなので一気に読んでしまいそう。 - 2026年9月13日
おせっかいなゴッドマザーシャンナ・スウェンドソン,Shanna Swendson,今泉敦子読み終わった(株)魔法製作所第三弾。 ようやく気持ちが通じ合った翌日からスタートしたのに、魔法や敵に邪魔されて、なかなか思い描いたデートができず、始まらない恋愛。 今回はそんなヤキモキするケイティの恋愛を見守る物語だった。 そして物語の冒頭からは想像できなかった結末にビックリ。 たくさんの魔法や不思議な生物たちが出て来て、これがどう繋がっていくのかと思っていたらしっかり伏線として回収されて、でも予想外の結末に続きが早くも読みたい! ケイティはこれからどうなるのか、心配な結末だった。 - 2026年9月6日
ミント邸で夜の茶会を斎藤千輪読み終わった広島の鞆町を舞台にした連作ミステリー。 鞆の浦の高台に佇むミント邸と呼ばれる洋館では、週末の夜だけイブニングティーのサロンが開かれる。 マダムの琴葉が淹れる美味しい紅茶と、義理の息子でパティシエの壮馬の作るスイーツによって、訪れる人たちの悩みや苦しみが解きほぐされていく。 紅茶とスイーツと洋館、そして美しい鞆の浦。 広島という舞台をふんだんに活かした仕掛けが、爽やかな連作短編だった。 琴葉と壮馬の程よい距離感の関係性や、鞆のあたたかな空気感がじんわり沁みる物語ばかりだった。 壮馬の作るスイーツがどれも美味しそうで、特にホットケーキが食べてみたい! 行間から紅茶の香りも感じられて、紅茶も飲みたくなった。 作者広島出身なのかな?と思いきや関東出身だった。巻末にしっかり福山出身の方が監修されていた。 続きが出ても楽しめそう。 - 2026年9月3日
アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険宮田珠己,網代幸介読み終わった教皇の命令でしぶしぶプレスター・ジョンの王国を探して旅立ったアーサー、エドガー、ペトルスの奇想天外な東方世界への旅を楽しむ物語。 父の書いたデタラメ旅行記「東方旅行記」と、イカモノ親父のジョン・マンデヴィルに悪態を吐くアーサー、未知の世界に旅に出たかった異母弟のエドガー、教皇からの使命を放棄してイングランドに帰りたがるアーサーを破門すると脅す司祭のペトルス。 3人の噛み合わない会話劇と、なぜかすれ違いつつも目指す方向が最終的に一致する進退と分岐がおもしろくてさくさく読み進めてしまった。 旅行記のような、歴史もののような、ファンタジーのような、なんとも形容し難いけれど、純粋に物語として深く考えずに楽しめました。 装丁も美しく、箔押しの表紙や、表紙中の織り込まれた絵巻など、イラストまですべて美しく、持っているだけで大満足の本です。 中に差し込みで付いていた絵巻の解説(ネタバレあり)と「アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険」に関係する作者宮田さんの選書リスト(ネタバレあり)がまたさらに読みたい本を増やしてくる。 読了して巻末の膨大な参考文献も合わせて確認したところ、ジョン・マンデヴィルの「東方旅行記」はイカモノではなく、実在する書物だった事に驚いた。 ちょっと読んでみたかったけど、紙書籍は入手困難で、電子では購入可能のよう。 選書リストの本、参考文献の本、歴史も合わせて調べるとさらに深く物語の世界とその外の世界を楽しめそうです。 - 2026年8月30日
宝石のこえ野沢きみ読み終わった女性の声を聴くと宝石を吐き出す宇宙人に朗読するアルバイトをする代わりに、奨学金を得ながら生活する主人公。 家族に対する嫌悪、大切な人に対する深い愛、汚い言葉を発する浅慮な人々への殺意、そんな複雑な主人公の独白のような、日記のような、不思議な物語だった。 過去と現在がくるくると入れ替わり、今どこにいるのか、足元がおぼつかない不思議な感覚を味わう文体だった。 他者から向けられた優しさに感謝しながらも、自分からは何も返せない。 生まれ育った地から逃げ出したくて、何ものにも執着せず、自分自身すら大切にせず、いつかこの世界から消えてしまいそうな危うさを感じながら、それでもどこかで少しでも幸せになって欲しいと思いながら読み進めた。 主人公の大切な人たちの名前はするすると序盤から明示されるのに、最後まで明かされなかった主人公の名前。 主人公がこれから辿る旅は、果たしてどこに辿り着くのか。 寂しくもあり、けれど少しでも幸せな瞬間が訪れると良いのだけれどと祈ってしまった。 - 2026年8月19日
赤い靴の誘惑 (株)魔法製作所 (創元推理文庫)シャンナ・スウェンドソン読み終わった魔法製作所第2弾。 最悪な以前の職場から脱出し、新しい職場に少しずつ馴染み始めた矢先、会社で発生するスパイ疑惑。 プライベートではテキサスに住む両親が感謝祭休暇でやって来る事になり、さらにケイティ自身にも危機が迫る急展開のストーリーだった。 様々な事件やトラブルが発生し、ケイティの平穏でおかしな日々はどうなるのか心配だったけど、ページを捲る手が止まらず、今回も楽しく読んでしまった。 ケイティの勇敢さや現実との泥臭い向き合い方、不器用な恋愛の姿がとてもキュートで応援したくなってしまった。 まだまだシリーズは読み始めたばかり。 これからのケイティの成長が楽しみだ。 - 2026年8月2日
鬼葛島の殺人三日市零読み終わった脱出ゲーム+謎解き+殺人ミステリー第二弾。 今回の舞台は京都の無人島。 宝探しツアーを楽しむはずが、参加者の1人が死体で発見され、宝探しツアーは一転する。 今回も詩文の明晰な頭脳、理人の映像記憶能力で謎の解決が進んでいく。 そして二人の精神的な成長と関係性の深まりが感じられた。 宝探しツアーで用意された謎解き、滞在先となる建物の図面、文章中に隠されたヒント…。 たくさん仕込まれた仕掛けを見つけ出し、絶対謎を解くぞ!と決意強く読んでいたけど、やっぱり難しかった。 - 2026年7月25日
本屋さんのある街で一穂ミチ,三浦しをん,凪良ゆう,坂木司,瀬尾まいこ読み終わった本屋さんをテーマにした豪華執筆陣によるアンソロジー。 本屋さんが好きなので楽しみにしていた作品。 本屋さんをテーマにしつつ、本屋さんを利用する人だったり、本屋さんで働くする人だったり、本屋さんを始める人だったり、本屋さんを受け継ぐ人だったり、舞台も関係性も様々。 どの作品も本屋さんへの愛が描かれていて、どの作品も短編ながらおもしろかったけど、一穂ミチさんの「歌うように生きて」が衝撃的で切なかった。 この始まりからこの結末に着地するのかと驚かされた。 でもどの作品も読み終えた時はスッキリとした気持ちになって、家の近くの本屋に行きたくなる。 本屋さんの現実的な危機とかも描かれてはいるけれど、それ以上に描かれている本屋への深い愛が、じわじわと伝わり、物語の余韻と共に味わえる。 - 2026年7月20日
ブルーローズは眠らない市川憂人読み終わった不可能と言われた青いバラを同時期に作出したテニエル博士とクリーブランド牧師。 両者と面談した直後、密室状態の温室で切断された首が見つかり、事件の捜査が始まるが、解けない密室の謎、怪しい容疑者、そして起こる第二の事件が謎をさらに複雑にしていく。 2人の青いバラを巡る長く哀しい事件だった。 ジェリーフィッシュと同じく被害者の独白と断片的に挿入される事件や証言や視点。 複雑な構成と絡み合う時間と証言と事件から、途中でなんとなく真相が見えて来たけど、犯人でない事を祈っていたけど、さらに切ない結末だった。 先が気になってページを捲る手を止められなかった。 最後まで読むと、タイトルに込められた意味と仕掛けも分かる。 マリアと漣シリーズの第二弾も仕掛けがふんだんで安定して面白かった! 続けて第三弾の「グラスバードは還らない」を読みたいところだけど、買ったばかりのミステリーを読んでしまいたい…。 - 2026年7月19日
エミリー・ワイルドの妖精事典ヘザー・フォーセット,原島文世読み終わった出版社のXでの紹介を見て読みたくなって手に取った。 主人公のエミリーはケンブリッジ大学の教授で、樹木妖精学研究者。 フィールドワークで各地の伝承や妖精を調査する、ごくごく平凡な見た目の女性。 少し人付き合いが苦手で、話すことも苦手。 そんな性質が災いし、北極圏に近いリョースランド島での妖精フィールドワークは村人たちの協力を得られず前途多難。 後からひょっこり現れて、図々しくエミリーの研究に合流した同僚のライバル、バンブルビーはその美貌と人当たりの良さと軽やかな口であっという間に村人に溶け込み、図らずもエミリーの研究が進めやすくなる。 相容れない2人の対立と協力体制を軸に、リョースランド島フラヴンズヴィク村の人たちとの交流と、妖精フィールドワークの物語が、エミリーの日記として綴られていく。 全く正反対のエミリーとバンブルビーなのに、同僚やライバルという関係を超えた関係性。 物語はエミリーの日記と時々挿入される注釈で書かれていて、最初注釈で引用される学術文献や本、伝承が本当にあるのかと信じ込んでしまった。 研究者の日記という形態のせいか、客観的に世界や自分を分析し、淡々と綴られていて読みやすかった。 物語の世界線では、妖精は一般に認知され、希少生物として研究対象にされている。 読んでいると、自分が認識している妖精よりもグロテスクで、「隣人」呼ばれるように身近な存在なのだと理解した。 物語は予想を超える展開で、でもファンタジーというよりも現実的だった。 結末までたどり着いた時、さらにエミリーの物語が読みたくなった。 全三部作との事なので、これからの翻訳が楽しみだ。 - 2026年6月14日
読み終わった職場で借りた本。 社内でこの本を読んだ5人でドキュメンタリーの視聴会も開催した。 本を読んでなんとなくイメージしていた白鳥さんは、映像の中でもそのままで、でも予想より速く歩く人だった。 本の中で、作者の有緒さん、マイティ、白鳥さんはいつも楽しそうに美術鑑賞をしている。 時々行ったことのある美術館や、見た事のある作品も出てくるので、自分が感じたものと異なる意見や見方を知ることができるのもまた楽しかった。 本には、作品の写真も掲載されているので、一緒に作品を見ている気分になる瞬間もあったけれど、ドキュメンタリー映画もまた、現場の空気感が少し感じられるものだった。 目が見えること、見えないこと、身体的特徴関係なく、ただ一緒にいて楽しい、話していて楽しい、それだけで良いのだと感じた。 美術館、次は何を見に行こうかな。 白鳥さんたちみたいに仲の良い友人と、会話を楽しみながら行きたい。 - 2026年6月4日
伝説とカフェラテトラヴィス・バルドリー,原島文世読み終わったニューヨークの魔法使いの帯で紹介されていたので図書館で借りて読んでみた。 夢だった珈琲店を開くため、傭兵生活から足を洗い、テューネの街にやって来たオークのヴィヴ。 土地を買い、建物を改装し、人を雇い、ようやくオープンしたけれど最初は閑古鳥が鳴く状態。 ヴィヴの周囲に集まって来た人たちに助けられて、少しずつ繁盛し始める姿を描いている。 剣や魔法に頼らず、アイデアと出会った人との縁、交渉などでピンチを乗り越え、チャンスに変えていく、ヴィヴの夢の珈琲店を作り上げていく過程が興味深くもあり、温かく見守る気持ちだった。 途中心折れるような悲しい事件も起きるけれど、ヴィヴの周囲に集まった人たちの力で、乗り越えていく場面もまた魅力的だった。 本屋をたてなおすという前日譚の本も読んでみたい。 - 2026年5月24日
ニューヨークの魔法使いシャンナ・スウェンドソン,今泉敦子読み終わったシャンナ・スウェンドソンの魔法治療師のティーショップの続きの出版を待つ間に、同じ作者の別のシリーズ、(株)魔法製作所シリーズを読んでみた。 テキサスからニューヨークに出てきて一年のケイティ(キャスリーン・チャンドラー)にとって、ニューヨークはおかしな街だった。 背中に妖精の羽をつけた女性、地面から2インチ浮かんで歩いている人、手首をくいとひねって電車を呼び出す男性、時々現れるガーゴイル…。 日々変なものを見ても驚いたりショックを受けるのはケイティだけで、まわりの人たちは眉ひとつ動かさない。 自分がおかしくなったのか、街がおかしいのか、混乱する中、ヒステリックな上司のミミにも振り回されて、ケイティは仕事もプライベートもボロボロな状態。 そんなタイミングでケイティに訪れる思わぬ転職のタイミング。 平凡普通なケイティと、おかしな街ニューヨーク、そして少しの魔法の物語。 日常を少し踏み外すと存在する魔法と冒険の日々にワクワクする、大人のためのファンタジーだった。 テキサスという田舎出身のケイティから見ると都会のニューヨークですら魔法に満ちた不思議な街なのに、さらにおかしな魔法まで。巻き込まれたケイティの目線と次々明かされる真実への取り組み方がケイティの平凡さが素敵だった。 恋愛には少し臆病で、でも一緒に普段着のまま大好きな人とソファーで寄り添い、テイクアウトを食べながらテレビで古い映画を見る、そんな恋人が欲しいと願うケイティの恋の行方も気になる。 シリーズなので次の作品も楽しみ。 - 2026年5月17日
魔法治療師のティーショップ パン職人の秘密シャンナ・スウェンドソン,今泉敦子読み終わった魔法治療師のティーショップ第2弾は、パン職人のルシーナをメインとしたストーリー。 エルウィン(ウィン)とブリンのその後も描かれていて、シリーズものとしても楽しめるけど、単独の作品としても楽しめた。 大半の住民が突然消えてしまった不思議なリディング村は、何かから逃げている人、居場所を求めている人たちを呼び寄せる不思議な力がある。 村に元々住む人も、何かに追われて住み着いた人たちも、誰にも言えない秘密や傷を抱えている。 前作ではウィンとブリンの秘密が暴かれたけれど、今作ではパン職人ルシーナの心の傷が描かれている。 すごい魔法が出てくる訳ではないけれど、のどかな田舎の村で巻き起こる事件のスパイス程度のちょっと不思議な魔法が混ざり合い、今作も楽しかった。 村の秘密は次作で明かされるのかな? 楽しみ。
- 2026年5月11日
魔法治療師のティーショップシャンナ・スウェンドソン,今泉敦子読み終わった帯に書かれた「ハーブティー」「コージーファンタジィ」という単語に興味を惹かれて読んでみた。 魔法とハーブで病気や怪我を治療する魔法治療師を主人公に、魔法と剣のあるファンタジーな世界観だけど、魔法に頼り切らない、恋や自分自身を信じて再び立ち上がる人の姿や、偽らない本質での人々との交流を描いた、地に足のついた物語だった。 ハリーポッターのような生活に寄り添っているような魔法の距離感が好きな方におすすめ。家に棲みつく目には見えない家政婦、私も欲しい。 - 2026年3月11日
そいつはほんとに敵なのか碇雪恵読み終わった不思議なタイトルとかわいいぬいぐるみの表紙、「SNSを捨て、喧嘩を始めよう」と書かれた物騒な帯、出版社の紹介文に〈喧嘩入門エッセイ〉。 見かけるたびに気にかかり、家の近くの書店にて購入し読み始めた。 「喧嘩がしたい」と言いつつ実際に喧嘩をする訳ではなく、具体的な敵がいるということでもない。 できれば喧嘩を避けて無難にやり過ごしたいと言いつつ、色々な敵に対する苛立ちを感じ、けれどそれは「自分のことをもっと知りたい」、「濃密なコミュニケーションをとりたい」という欲求の言い換えだと冒頭の「はじめに」ネタバレしている。 「はじめに」で書かれているネタバレの通り、この本は著者が敵とみなした相手に対して感じたこと、それらを文章に書くうちに自分自身を見つめ直し、自分自身をもっと知りたいという考えにいたり、最後に敵とか戦うという発想をやめて旅に出たいと思うエッセイだった。 読んでいるうちに、自分自身も偏った視点や考えになっていないか、振り返ってしまった。 人を信じること、自分自身を信じること、違いではなく共通点や同じ考えが一つでもあるのであればそこを喜ぼう。そうすることでより良い楽しい生活になると思う。 - 2026年1月3日
読み終わったリアル脱出ゲーム×ミステリーという斬新な組み合わせが気になり読んでみた。 リアル脱出ゲームを共通の趣味としている大学生コンビの2人。 専攻も性格も違い、少しデコボコしているけれど、側から見ているとお互いの苦手な部分を補い合っているように見える。 そんな2人がたまたま参加することになったリアル脱出ゲーム。 実際に出てくるパズルや図版が読んでいる読者にも体験しているような気分にさせる。 少しホラー要素も含みつつ、楽しい謎解きは一変して殺人事件となり、そこから犯人に翻弄されながらも推理が進んでいく。 ミスリードなどにひっかかって犯人が分からなかったけど、動機は早い段階で読み解けた。 トリックは解けば簡単なものだけど、リアル脱出ゲーム好きにはたまらないミステリーだと思う。 主人公2人の推理、シリーズものとしても読んでみたい。
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