
blue-red
@blue-red
2026年7月19日

猛スピードで母は
長嶋有
読み終わった
小説
単行本
芥川賞
読後感の清々しい小説。収録作2作とも、主人公格の大人の女性たちが、大人っぽい大人で、人生は所々上手く行ってなくても粛々とサバサバと事を進めていくさまが読んでて気持ち良い。悩み役は語り手の子供が勤め、一見サバサバとして物事を進めているような大人たちの心の機微を、子供から見た視点ですくい上げる筆致がすばらしい。
装画が奇天烈な感じで誰かなと思ったら佐野洋子だった。佐野洋子の単車にまたがる作者近影写真を思い出した。そんな感じのいい感じの大人味が本小説にはある。
そんな感じで好きなタイプの小説のはずだが、なんだか引っかかりが頭に残っちゃった。両作とも語り手・受け手である子供が思春期前ぐらいの年齢の設定で、自己主張が皆無なわけだけど、なんかそれってズルくない? 大人たちの色々をつべこべ言わずに・かき乱さずに受け止める存在として登場させているような都合良さというか。作者の長嶋有がズルいとかそういう話ではなく、一応は大人の一部である自分が、こういう登場人物構成の物語を気持ち良く味わうことの居心地の悪さみたいなものかな。