
いちのべ
@ichinobe3
2026年7月19日
ここはこどものいない国
武田綾乃
読み終わった
「99.9%の人間が工場生産され、三大欲求が完璧に制御可能になった社会とはどんな形か?」という思考実験として、細部まで作り込まれていて興味深かった。人間が「労働力」として優れた形へとカスタマイズされていく様や、性欲が希薄になったため共同生活のパートナーには同性が選ばれやすいとか、結婚式には友人しか呼ばれないとか。
そんな社会の中で、0.1%の自然出産児として生まれた美奈子が主人公=現代社会を生きる読者の視点であること、美奈子と急接近する伊藤は工場出産児だが自然派の思想≒現代社会に近い感覚の持ち主であることは、多くの人の読みやすさに繋がりそう。
だが、自然出産児が差別や迫害を受けているというわけではなさそうで保護する動きもあるし、工場出産児にも経済的格差があるのは今の社会とさして変わらないし、何なら今は実現できていない同性婚ができるようだし……と、この社会自体にディストピアみをそんなに感じられなかった(国力として人間の生産を管理しているという状況は勿論ディストピアなんだけど、個人的にはこの国で生きるの全然いけそうだなと思ってしまった)自分は、この社会に疑問を持っていない人物の生態をもっと見てみたかったなと思ってしまった。






