ユメ "ふつうの人が小説家として生活..." 2026年7月2日

ユメ
ユメ
@yume_bookworm
2026年7月2日
ふつうの人が小説家として生活していくには
島田潤一郎さんの丁寧なインタビューによって引き出される、津村記久子さんの実直な言葉の数々が胸を打つ。 小説家に限らず、クリエイティブな職種のひとは、自身の非凡なセンスや才能、ひらめきといったものを武器に仕事をされているという印象があった(あまりに雑なイメージかもしれないが)。だが、津村さんは、ご本人の言葉を借りるなら「オープンソース」で仕事をしている。好きなものを徹底的に掘り下げ、自身が経験したことを膨らませてゆくことで小説を書き、日々の執筆のルーティンをきちんと守り、キッチンタイマーを駆使したポモドーロテクニックに何よりの信頼を置く。その堅実さがあの作風に繋がっているのだなと腑に落ちたし、本書のタイトルから引用するなら「ふつうの人」だからこそ響く言葉がたくさんあった。自分と別世界ではなく、地続きの場所から言葉が届いてくるのだ。 「ケチはだめですね。ケチはつまらんと思います。世の中でウケてるかウケてないかとか、他人がどう思ってるかとか、どれだけ自分の気持ちを接待してくれそうかでコンテンツを選ぶ人っていうのは絶対につまらん。つまらんし、そんな人が自分の人生つまらんって言っててもなんも同情しいひん。私は不幸やとかって言ってても、なんも同情しいひん。それは感情的にケチやからやろって思う」という答えがとりわけ胸に刺さった。私が自分の人生に退屈したことがないのは、昔からずっと読書が好きで物語を追いかけてきたおかげかもしれないと思う一方、自分の好きそうな本ばかり選んで読んでいる傾向もあるので、感情的にケチにならないようにしなければと身につまされた。
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