イツキ "記銘師ディンの事件録 木に殺..." 2026年7月20日

イツキ
イツキ
@maruitsuki
2026年7月20日
記銘師ディンの事件録 木に殺された男
記銘師ディンの事件録 木に殺された男
ロバート・ジャクソン・ベネット,
桐谷知未
本書は、ファンタジーの世界観と本格ミステリがきれいに組み合わさった作品だった。 舞台は、人間や植物を自在に改変する技術が発達したカナム帝国。主人公のディンも、一度体験したことを忘れない「記銘師」という特殊な能力を持っている。ただし、何でも簡単にできる万能な主人公ではない。文字を読むのが苦手で、捜査経験も浅く、自分にあまり自信がない。そんなディンが、奇妙な殺人事件を追いながら少しずつ成長していく姿がよかった。 そして何より魅力的だったのが、ディンと上司のアナの関係だ。アナはものすごく頭が切れる一方で、かなりの変人。相手を怒らせることも多く、最初はディンも振り回されっぱなしだった。それでも捜査を進めるうちに、二人がお互いの能力や弱さを理解し、少しずつ信頼を築いていく。その過程が、事件の謎解きと同じくらい面白かった。 リヴァイアサンという巨獣、能力と引き換えに代償を背負う卓越者、巨大だけれど壊れやすい帝国など、世界観もとてもよく作り込まれている。設定が飾りではなく、事件や人物の生き方に深く関わっているところも印象的だった。 奇妙な事件の真相を楽しみながら、未熟な助手と変人捜査官が相棒になっていく物語としても楽しめる一冊だった。
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