端隅 "世界の適切な保存" 2026年7月20日

端隅
@R_nut
2026年7月20日
世界の適切な保存
考えたこと、感じたことを残しておきたい、できればそのまま誰かに伝えたいとき、ひとつの方法として日記や、詩、文章を書く。ことばにする。だけど、言葉になる前の「感じ」・うまく説明できない感情・曖昧な記憶・匂い……言葉にしようとすると逃げ水のように捉えることが不可能で、何かが決定的にこぼれ落ち、さらに自身で残そうと意識していないものはたやすく消えてしまう。言えないこと、書けないことがいっぱいある。どうしたらいい。 著者は、自身のそれだけではなく、友人や哲学カフェで出会う他者のそういうものも保存しようとしている。聞き間違いや誤変換であらわれる世界のほころび、放っておくと消えてしまうけれど確かにそこにあったもの、あるはずだったもの……多くは形が定まらない、目に見えないものだから、時にまどろっこしくてわかりにくい。が、それは彼女が丁寧に、できる限り誠実にそれらを保存し、わたしたちや未来の誰かに手渡そうとしているからだ。ときに作家や歌人の作品を引用するのも、彼らが、世界をよく見ようとし、表現しようとするプロだからだろう。 言葉で完全に表現したり保存したりするのは不可能だとわかっている。わかっているけれど、言葉にする以外に、あるいは写真を撮ったり作品をつくる以外に、どんな方法があるのだろうか。あれもこれも完璧ではない、それでも保存して誰かに伝えたいから、わたしたちは悩み、話し、書き、作るんだと思う。
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