じょるじゅ。 "ソラリス" 2026年7月20日

ソラリス
ソラリス
スタニスワフ・レム,
沼野充義
言わずと知れた、SFの名著……なのですが、恥ずかしながら本著を知ったのはここ最近のことでした。 朝日新聞に掲載されていた「好書好日」にて、朝日新聞社編集委員の山中季広さんが「夏に読みたい3点」として挙げられており、「これ、読んでみたいんだよね」と母に話したところ「持ってるよ!」と渡されたため、借りることにいたしました。 記憶違いでなければ、SFをちゃんと読むのはこれが初めてになります。少し厚めではありますが、続きが気になって一気に読み進めてしまいました。 当たり前のことなのですが、「サイエンス・フィクション」というジャンルですから、自然科学(数学・物理学・化学・天文学等)をベースとした内容が出てきます。最初は「あんまり詳しくないけど大丈夫かな…」と思いながら読んでいたのですが、読んでいるうちに段々と「SFというジャンルでありながら、テーマは哲学的なのだ」と気づきました。 そのため、訳者さんの解説で世間的にはラブ・ロマンスが主題として捉えられることが多いと知り、「そうなの⁉︎」と驚きました。 確かに大切な人との関係が一つの鍵を握っていることは間違いないのですが、個人的に「あれは恋愛というより、極限状態に陥った人間が状況を受容するために無理矢理意味を持たせようとする心理的な行動に近い」と感じました(「わざわざ損になるようなことをしたのは、その人が好きだからだ」と思い込み、自分の身に起きたことを正当化しようとする…という行動で、専門用語もあったと思ったのですが、すみません失念してしまいました……)。 どれだけ謙虚な態度をとっても、どれだけ控えめなことを言っても、どれだけ客観的かつ理性的であろうとしても、人間は人間である限り、どうしても自分たちの見える範囲、知っている情報で物事を捉えてしまいます。それは私も常々痛感していることで、それがもっと局地的になると地域や文化、人種などで「常識」と呼ばれるものの齟齬が発生し、対立を引き起こすことになります。 このお話は、もっと壮大で「人間とは全く異なる生命体に対しても、人間と同じように考えてしまうのではないか」、「人間は無意識のうちに、自分たちを最高の存在としているのではないか」という問いを投げかけられているように感じました。 読む人によって「様々な読みの可能性」があると多くの批評家が指摘するほど、様々な要素が織り交ぜられた本著。「もし、自分が主人公と同じ立場に置かれたらどうするだろう」……そんなことを自分自身でも考えながら読ませていただきました。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved