

ミヤウヂ ヨウ
@kameupaupa
「夢の中なる夢を見て、夢とは知らぬ現にも」
※アカウント名を変更しました(元・じょるじゅ)。
- 2026年11月2日
妄想銀行星新一読み終わった今月最初の読了書は、先月から読み始めた星新一の『妄想銀行』です。 やっぱり星新一はいいですね。淡々と進むお話が、オチのゾクっとする恐怖をさらに煽ります。 何がすごいって人間心理を冷静に描いているので、オチや世界観の中に支配的要素であったり、現実なら賛否分かれるような方法だったりがあっても「この登場人物のしたことなら/平和を維持するためなら、まぁそれも仕方ないか」と思わせてしまう不思議な力があるんですよね。いやいやいや、と本当なら思い踏みとどまらなければならないんですが。 個人的に印象に残ったのは「変な客」、「陰謀団ミダス」、「声」です。 「とんでもない奴」とタイトルにもなった「妄想銀行」は、星新一なりの現代社会への皮肉が込められているように感じました。星新一の場合、批判ではなく皮肉なんですよね。いくら批判をしようとも、結局は現代社会の構造の上で踊り続けなければならない、口で言うだけで踊り続けることを本気でやめる人はいないという皮肉を感じます。「意味がわかると怖い話」的な物語としての面白さを兼ね備えているのはもちろんのこと、その皮肉がかえってウッと痛いところを突かれているような気持ちになってしまうんですよね。 今年で生誕100周年ということで、できれば今年中に星新一のショートショート全1001編を読んでみたいなぁと思っているのですが、さすがに今年中は難しいですね。没後30年の来年中には読み切りたいと思います。 - 2026年10月29日
読み終わった本屋B&Bさんで開催された、平井靖史先生と古田徹也先生の対談イベントの見逃し配信を視聴するため拝読いたしました。サイン本付きのチケットを購入できたのは幸運でした。 ベルクソンの哲学は恥ずかしながら全くの素人でして、私にとっては本当にこれが「はじめてのベルクソン」でした。ちょうどNHK文化センターで開催されている野矢茂樹先生のゼミでも自由がテーマとなっているので、「タイミング的にこれも何かのご縁、自由について考える参考になるかも」と考えていたのですが、それ以上の刺激を受けることとなりました。 哲学はオーダーメイドスーツのように、それぞれの課題に合わせてかたちを変えていくものだ、というベルクソンの考えには目から鱗といいますか、「それでいいんだ!」と勇気づけていただけたように思います。ベルクソンのいう時間は平面ではなく立体、3Dなんですよね。脳内でベルクソンのいう図形をグルグル回転させていたら、なんだか読んでいて楽しくなってしまいました。笑 また、途中でベルクソンがスピノザを例えに出している箇所があり、ちょっとした繋がりでも嬉しく感じてしまいました。 時間の考え方について、自分が捉えていた見方とは異なる視点に気づかせてもらえた一冊です。 見逃し配信視聴後、再度読み直したいと思います! - 2026年10月29日
妄想銀行星新一読み始めた@ 神田神保町本日、神田古本まつりへ行ってきまして、文庫版ではなく単行本の『妄想銀行』を見つけて即購入いたしました。この、活字に触れると少し凹凸があるのがよいのですよね…… ちなみにお値段は500円。今回購入した昭和49年15刷の定価は520円なので、当時の物価からすればお安くなっているのでしょうが、いま文庫本で買おうとすると800円近いですからね。読書は気軽に楽しめる趣味ですよ、と言いづらい世の中になってきてしまいました。 同じく『マイ国家』も購入したので、楽しみに読みたいと思います!
- 2026年10月28日
恐怖コレクター 巻ノ一 顔のない子供(1)よん,佐東みどり,鶴田法男読み始めた電子書籍アニメが始まると知り、「少年漫画が原作かしら?」と思っていたら、児童向け文庫なのですね。それで俄然興味が湧いてきてしまったところ、U-NEXTの「キッズ読み放題」で読めると知り、読み始めました。 いやー…結構本格派というか、小ちゃい子に向けてするただの怪談話という感じでは全然ないですね。普通に大人が読んでも面白いです。 以前、NHKで放送していた「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(こちらも子ども向けの本が原作)は、子ども向け「笑ゥせぇるすまん」みたいでとても面白く、大人としても身につまされる話が多かったのですが、「子ども向けと侮るなかれ」ですね。 - 2026年10月28日
魔術師江戸川乱歩ラジオオーディオブックNHK FMラジオの「朗読の世界」で放送されているのを知り、ただいま聴いております。 江戸川乱歩はこれまで読んだことがなく、名探偵・明智小五郎や少年探偵団など、子どもも読める探偵小説というイメージだったのですが、実際に聴いてみると結構エグいといいますか……「小学校の図書室とか学級文庫とかに置いてあったけど…!?」と少し心配になってしまいました。 でも、なんだかんだ話の続きはとっても気になるし、篠田三郎さんの素晴らしい朗読も相まって、ついつい聴いてしまうんですよねぇ…! また、これを機に青空文庫で江戸川乱歩の作品を読むようにもなったので、何事もきっかけだなぁと思いました。 - 2026年10月24日
白髪小僧夢野久作,日下三蔵読み終わった読み終わるのが勿体なくて少しずつ読み進めておりましたが、下巻も発売されましたので、思い切って読み進めてしまいました。 ほとんど数ページの短い話なので、どことなくショートショートを読んでいるような感覚でした。 夢野久作が“探偵小説家”としてデビューする前に書かれた童話集。 童話集ということで、対象は子どもになるかと思うのですが、大人が読んでも身につまされるお話がいくつもありました。 教訓的なオチがあるお話も多いのですが、中には「えっ、これでおしまい…?」とか「いくらなんでも無慈悲…でも子どもがすることってこういうとこあるか…」など、夢野久作作品の片鱗をひしひしと感じられました。 何よりも、こんなにもたくさんのお話をほぼ毎日新聞に掲載していたのが凄すぎます。どういう経緯で新聞にお話を書くことになったのでしょう…? それに、新聞に童話が載っていたというのも、ちょっと不思議な感覚です。当時、新聞というメディアが世代性別問わず、それだけ身近で大事な存在だったのでしょうね。 - 2026年10月22日
ボッコちゃん星新一読み終わった先日、星新一作品についての本を読んだので、久々に無性に読みたくなって買ってまいりました。中学生の頃に読んでいたのですが、図書室で借りていたので手元には置いてなかったのです。 やっぱり、星新一作品はいいですね。妙に無感情で、心の奥がソワソワする感じ……人間の本性を描いているのに感情がさっぱりしているので、それがより皮肉に思えるんですよね。 特に気になったのは、「月の光」「追い越し」「診断」「最後の地球人」です。中でも「最後の地球人」は、元々話としてもゾワッとするのですが、今の情勢もあり、ただの作り話とは言えなくなってきているのも恐ろしいところです。 これを機に、少しずつ揃えていこうと思います。 - 2026年10月21日
怪異の脳科学古谷博和読み終わった最近、夢野久作作品にハマったのを機に、こういった怪異にまつわる本に惹かれるようになりました。 本著は昔から人間が遭遇してきた怪異について、脳神経内科の先生の目線から解き明かされています。 「そういう病気や症状があるのか!」と驚くと同時、まるでミステリーを読んでいて謎が解けていくような感覚をおぼえました。 「きさらぎ駅」についての考察(診断?になるのでしょうか)は、なるほど!と思わず膝を打ちました。 こうして科学や医学が進歩していくと、怪異がなんだか遠い存在になってしまいますが、裏を返せば、その予兆を知っていることで救える誰かがいるかもしれないということですよね。 それに、すべての怪異が科学で説明できるというわけではないので、まだまだ知られていない、人間の想像なんかを凌駕していく自然現象や脳、神経の働きがあるのかもしれないなと考えてしまいました。 - 2026年10月19日
第3巻 エチカ上野修,鈴木泉読書日記最近は哲学の講座にいくつか参加させていただいておりまして(そのため実は今月はあまり本が読めておりません……)、その講座の一つが、平尾昌宏先生によるスピノザ『エチカ』講座です。 『エチカ』は以前、分からないながらも通読はしたのですが、講座に参加してから読むと、スピノザの言わんとしていることの輪郭が何となく見えてきたように思います。 また、最初に『エチカ』を読んでから様々な哲学に触れる機会もあったので、初学者なりに薄くとも蓄積してきているものがあるのかもしれません。 実は、同時進行で野矢茂樹先生の講座にも参加させていただいているのですが、そちらのテーマが「自由とは何か」なのです。『エチカ』でも自由について何度か語られているので、より自分のことに引きつけて考えられている気がします。 自分自身、あまり「自由」や「決定論」などについて深く考えたことがなかったので、いろんな見方があるということを知れるだけでも、世界というか視野が広がってとてもワクワクしますね。 - 2026年10月18日
知的な老い方外山滋比古読み終わった近所のスーパーにある書籍コーナーで見つけた本書。 外山滋比古先生のご著書を読むのは今回が初めてだったのですが、読んでいて気持ちがよいというか、切れ味がスパッとしていて気分がよくなります。 一本筋が通っているけれど、柔軟に考え、実際に行動へ移すパワーがある。それがパワフルに生きる原動力なのでしょう。 そういえば、今の社会人以上に激務だったであろう明治期の実業家の方々は、当時にしては長命かつ亡くなる直前までお仕事をされていた方が多かったように思います(勘違いだったらすみません…)。 それも、本書で外山滋比古先生が仰っていたように、常に目標を持ち、新たなことに挑戦していく気持ちがあったからかもしれません。 私は元々身体自体がかなり省エネ設計になっているらしく、こんなパワフルには生きられないと思いますが、周りに迷惑をかけずカッコよく生きるというのは憧れであり、目標にしていけたらと思いました。 - 2026年10月14日
人月の神話フレデリック・フィリップス・ブルックス,Jr.Brooks,Jr FrederickP.Brooks,富澤昇,滝沢徹,牧野祐子読書日記近所(というほど近所でもないのですが…)にある本屋さんには、「なぜここに!?!?」という本がしれっと置いてあったりします。『人月の神話』もその中の一冊です。ちなみに以前はLaTeXの本もありました。 高校生の利用は多いと思うのですが、大学は近くにないので、一体何故…?笑 まちの本屋さんは、そういうところも面白いのですよね。旅行先なんかでも、大型書店だけでなく、まちの本屋さんにも時間があれば行ってしまいます。きっとそういう方は私だけではない、はず! あの本屋さん、『ドグラ・マグラ』の特装版って予約お願いできたりするのかしら?今度行ったら聞いてみようかと思います。 - 2026年10月12日
無限論の教室 (講談社現代新書)野矢茂樹読書日記個人的に愛聴している、朝日新聞のポッドキャスト「カガクをヒラク」。今回のテーマは「無限」についてでした。 途中、MCの下地さんが「ここまで抽象的になると哲学みたい」と仰っていらっしゃいましたが、無限はまさに哲学でも取り上げられることがあるんですよね。私もすぐにこの本を思い浮かべました。数学と哲学って元は同じところから出発していて、いまも境界があいまいな分野もあるんですよね。 無限論についてはまだまだ理解できてないところが多いのですが、それこそ終わりがなくて面白いと感じます。私はゴリッゴリの文系ですが、大学で初めて触れた記号論理学の衝撃もさることながら、無限論の奥深さと奇妙さにも引き込まれそうです。 もしかしたら私は、下地さんが仰っていたように「頭がバグりたい」人間なのかもしれません笑 本書とは直接関係ありませんが、大変興味深い内容なので、もしよかったらお聞きください! ▷ https://omny.fm/shows/asahi/kagaku26 (Apple Podcast や Spotify でも聞けるそうです) - 2026年10月11日
白髪小僧夢野久作,日下三蔵読書日記夢の中で夢を見ることを、多重夢や偽覚醒と呼ぶそうです。 本書のタイトルにもなっている「白髪小僧」は、まさに多重夢が引き起こす悪夢のような現実……いや、それすらも誰かの見ている夢かもしれない――そんなお話です。 実は私も、体調を崩してから変な夢を度々見るようになりました。 体調自体は回復に向かっていると自分でも感じているのですが、どういうわけか最近、また変な夢を見るようになりました。なんなら以前より話の構成に磨きがかかり、多重夢のような内容が増えているのです。これはもしや、夢野久作作品を読むようになった影響なのでしょうか…? 思えば幼少期から夢と現実が曖昧になる話が好きだったので、そのせいもあるかもしれません。私が一番衝撃を受けた映画は「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」です。もし良かったら是非ご覧になってください。 とはいえ、睡眠が浅いことに変わりはなく、ハッと目が覚めると、激しい動悸や不安感、内容は大してショッキングでなくても「もう嫌だ、消えてしまいたい」という思いが過ることも。 今は昼寝などで睡眠不足をカバーしていますが、それでも眠くて仕方ないときもあるので、どうにかしないとなぁと思ってもいます。 - 2026年10月7日
星新一の思想浅羽通明読み終わった先日、本屋さんで「星新一生誕100年」としてポップアップされており、気になって手に取りました。 本書は星新一さん自身についての論評というよりも、星新一さんの作品をベースに星新一さんについて論じる内容となっています。星新一さんが時代小説や幾つものエッセイを書かれていたことは恥ずかしながら存じ上げなかったので、読んでみたいなぁと思いました。中学生の頃、読書の時間などによく読んでいましたが、星新一さんの人となりなどはあまり知らなかったので、本書を拝読し「こういう方だったのだな」と新たに知ることも多かったです。なぜか、自分の中ではSF作家さんというより、ショートショートの第一人者というイメージが強かったんですよね。 個人的に、星新一さんの作品は登場人物がニュートラルというかフラットというか……あまり感情的でないのが、読んでいて心地好かったです。本来、小説や物語であれば、感情を揺すぶられてナンボ(これがいわゆる「文学性」なのでしょうか…)みたいなところがあるかと思うのですが、私はそれが苦手なので、物語そのものを大変面白く読んでいました。 実はこの感情的なブレが嫌なせいで、ドラマや映画、アニメもあまり見ません。漫画はかろうじて平気なのですが、なぜなら「あっ」と思うシーンは自分のペースでパラパラっと飛ばせてしまうからです。 ……改めて言葉にすると、自分は作者さんに大変失礼な態度をとっているので、本当に物語を読むのに向いてないですね…… 話が脱線してしまいましたが、本著を通じ、星新一さんは何かに偏った見方をしない人、常に俯瞰し、様々な立場から見えるものをある種のシニカルさを持って表現していた方なのかなぁ、と感じました。 また、「高校生になると星新一を卒業してしまう」という話が何度か登場し、理由として「恋愛要素が薄いから」「厨二病が発動して知的ワルを気取ってみたくなるから」とありましたが、個人的には「より残酷で凄惨な物語を読みたくなるから」かな?と考えています。 私自身は「現実の方がよっぽど悲惨で救いようがないから、せめて物語の中ではそういうことがない方が……」という卑屈な人間なのですが、自分の周囲を見渡してみると、本を読む読まない問わず、そういったものに惹かれる傾向が強くなっていく気はしました。より強い刺激を求めるのは人間の本能ではありますが、もしかしたらそういう顕在化しづらい残虐性を秘めているのもまた人の性なのかもしれません。 本書からは、いろんな視点で星新一さんの作品や人物像を評論されているものの、著者の方は本当に星新一さんの作品がお好きなのだな、というのが伝わってきます。故に400ページ超の本になるため、長時間読んでいると腕が痺れてきますが、スラスラと読むことができると思います。 ただ、個人的に以下3点ほど気になりましたので、念のため記載しておきます。 ・句読点の付け方が「これで本当にあっているのかしら…?」と気になる箇所がある ・全体的にですます調とである調が混在している ・本人が本当にそうかも分からないのに「アスペルガー症候群的」などとラベリングしている 特に最後に関しては、「人を喜ばせようとするサービス精神が旺盛だったが、その一方で厭人的な面もあった」とか「変人と呼ばれる奇行も数多くあった」とかの説明で良かったのでは…?と思いました。そこまでアスペルガーの症状を引き付ける必要がどこにあったのか……まぁ、今は「自称・発達障害」や「自称・アスペ」も多いですからね。それが他称になって、「キチガイ」と同じようなニュアンスを帯びていき、いつしか使ってはいけない用語となっていくのでしょうね。 - 2026年10月2日
自由への哲学的探究野矢茂樹読み終わった今度、本書をテーマとした野矢先生の講義を受けることになり、拝読いたしました。 「自由は存在するのか」という問いに、人称と時制から“自由”というものを捉えようという、読む前は「?」でも、読むと「たしかにそうかも」と思える内容です。 拝読していて得た気付きとして、自分の中で「偶然性」と「自由」がごちゃごちゃになっていた点が大きかったです。とくに自由と偶然を一緒くたにしていました。偶然性は必然性と対になるもので、それ自体が自由や決定論のコアというわけではないんですよね。 また、自分の行いを振り返ってみると、結構いい加減というか、何かを選択するときに理由なく行為をしている(「なんとなく」とか「気分的に…?」とか)ことが多いなぁと思いました。恥ずかしながら、そもそも決定論派か両立論派かなどをちゃんと考えたことなかった…というのが正直なところなのです。自由とは何かさえ、まともに向き合ったことがないように思います。 これから野矢先生の講義を受け、本書を再読し、何度も自分で考えるうちに、何か見えてくるものはあるかと思うのですが、「自由」を“何”と捉えるかによって、変わりそうだなというのが今いまの直感です。すべての行為、すべての人にうまく当てはまる「自由」ってないのかも……じゃあ、いくつかの「自由」が存在するということなのか?それともやはり自由は存在しえないのか? これから、自分なりの答えを探してみたいと思います。 - 2026年10月1日
殉情詩集佐藤春夫読書日記気づけばあっという間に10月ですね。 こちらは久々の日本晴れ!風が心地好いです。 ふと空を見上げると、青空の中に月が残っていました。 残月や有明の月とも呼ばれるそうですが、私はこちらの詩集に収められている「昼の月」を思い出します。 ========================================= 野路の果、縁樹の上、 空澄みて昼の月かかる。 あざやかに且つは仄か消ぬがに、しかも厳か。 見かへればわが心の青空、 おお、初恋の記憶かかる。 ========================================= 頑張って写真を撮ってみましたが、やっぱり私の腕とスマホでは見たままを撮るのもかなり難しいですね…
- 2026年9月26日
ふだんづかいの生命倫理学平尾昌宏読み終わった平尾先生の本は『ふだんづかいの倫理学』と『日本語からの哲学』を拝読しております。特に『ふだんづかいの倫理学』は、平尾先生もご自身で書かれておりましたが、本当に各家庭に一冊あってほしいと私も強く感じたご著書です。『ふだんづかいの倫理学』は、倫理学全般について書かれておりましたが、こちらは「生命倫理学」に特化した本になります。 インフォームド・コンセント、安楽死、脳死、臓器移植、生殖技術、遺伝子技術、優生思想の問題について、それぞれ「そもそも何が目的なのか」「関係するのは誰なのか」「具体的に何が問題なのか」を、まるで目の前で授業を受けているかのような語り口で説明してくださっています。 拝読してまず思ったのは、それぞれの用語についてちゃんと勉強する機会が少ないため、人それぞれ認識がズレたまま話してしまっていることが多いかもしれない…と思いました。そして議論の論点もズレていき……となってしまうのでしょう。 平尾先生も授業されていると、生死にかかわる安楽死や脳死などへの関心の方が高いそうですが、個人的には生殖技術や遺伝子技術、優生思想の問題のほうが根深いと感じていました。「なんか、生命の誕生に関する問題の方が難しい気がする」という曖昧なものだったのですが、その理由も先生が解説してくださっており、非常に目からウロコでした。 平尾先生もおっしゃっていましたが、まずはそれぞれの問題について、自分でじっくり考えるということが大事なんですよね。自分の考えには、自分でも無意識のうちに何かの偏りがあり、その偏りに引っ張られてしまっているかもしれない。だからこそ、自分の考えに何か偏見が混ざっていないかを考えていかないと、と思いました。 - 2026年9月26日
事物の本性についてルクレティウス,山下太郎読書日記やっとアダム・タカハシ先生の「続・哲学史のススメ」第一回を視聴できました! 第一回はルクレティウスの『事物の本性について』でした。 山下太郎先生訳も今年出版されたのですね…!ぜひ読んでみたい!! タカハシ先生もおっしゃっておりましたが、ルクレティウスの『事物の本性について』は詩と科学論文の間というか……具体的な描写なんだけど、美しい情景が目に浮かぶように書かれていて、ルクレティウスの目にはこんな風に世界が見えていたのか…と感嘆のため息が漏れてしまいます。 しかもこれが何千年も前に書かれ、そのまま忘れ去られていたところを見つけ出されて、写本としてまた何百年も引き継がれ、今につながっているということだけでも凄すぎますよね。 実は、もしできることなら、原文のラテン語で読めるようになりたいのですよね。声に出して読みたいラテン語です。 勉強をし始めると仕事がバカみたいに忙しくなるという謎ジンクスのせいで、これまで何度か挫折してしまいましたが、気持ちを新たに、またラテン語の勉強をしたいなぁ。 - 2026年9月24日
文鳥・夢十夜夏目漱石読書日記明日は中秋の名月ですが、どうやらこちらは雲に隠れてしまいそうです。 先ほど空を見上げたら、少し欠けてはいるものの、きれいなお月様が見られました。 思わずスマホで撮ってはみたものの、これが私とスマホの限界でした…… 月といえば、私は夏目漱石の『夢十夜』の第一夜を思い出します。月の描写は途中にちらりと出てくるだけなのですが、何故か私の中では月と紐づいているんですよね。 『夢十夜』、とても不思議で神秘的…なだけではなく、怪奇的なお話もあったりして、これまで文学と縁遠かった私も以前から大好きな作品です。
- 2026年9月24日
こころは遺伝するロバート・プロミン,田中文読み終わった『ドグラ・マグラ』を読んだあと、たまたま本屋さんで見つけた本書。“遺伝する記憶”が物語の鍵となっている『ドグラ・マグラ』の影響もあり、すぐに購入いたしました。 拝読した感想は、本国イギリスの一般読者の方と同じく「目からウロコ」でした。 人格形成について「恐らくDNAが関与しているのだろう」と感じてはいましたが、まさかここまで微細精細なメカニズムとは思わず、だからこそ多種多様な性格や思考の人々が生まれるのだな、と納得しました。まさに「God in the details.」ですね。 宇宙の成り立ちなどと同様、ここまでくるとある種の芸術性も感じてしまいます。 とはいえ、読む人が読めば「優生志向」や「決定論的」とも取られない内容のため、著者のプロミン先生は何度も何度も根気強く「そうではない」と書かれています。それなのに一部メディアなどはそう解釈しているようですが…… この本を読んだからかもしれませんが、「もしかしてメディアや知識人社会に属する人は心の何処かで優生的な思考をする性質が強い人が多いのかも…?」なんて思ってしまいました。 ただ、この本を手に取られた方の多くは私と同様、「こころは遺伝する」というのを何となくそうだろうと感じられていたのかもしれません。故に、本を読まずにメディアに触れてしまう人が増えると、同じような反発も多く起きてしまうのかなぁ…とも考えました。 そして何より、先生も書かれている通り、科学の進歩から置き去りにされてしまった倫理的な問題は数多くあります。より身近、より具体的に捉えられるようになってきているからこそ、一人ひとりが改めてちゃんと知識を得て、問題と向き合う必要があるのですね。 ちなみに自分に当てはめて考えてみると、元々持っている遺伝形質と反する道を選択してしまったせいで、身体が限界を迎えたのかなぁと反省しました。面倒くさがりなところと、痛みに鈍いところ、そして変に諦めが良いところが、悪いかたちで発現してしまったのですね。 これまで何冊か自己啓発本を読んで参りましたが、最も「自分の声に耳を傾けよう」というのが響いた本でした。
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