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@yuyurara
2026年7月20日
たぶん、恋しい
一穂ミチ
読み終わった
少しばかり風変わりなお話。
なのに形を変えないであり続ける大切なものにふたたび出会える朱玉の短篇集でした。
美しさと切なさとやさしさがにじむ景色に目が潤んだ「エンパイアライン」。
嫉妬や独占欲に対する女性のたくましさしたたかさにドキッとする「わたしたちは平穏」。
閉ざされる扉と揺れ動く選択肢の狭間で未来とからだに折り合いをつけていく「月を経る」。
ぎこちなさを埋める積年の想いがたった3文字の呼び名と目で伝わる「あなた」。
抱えていた怖さと向き合い大切な人へ気持ちを届けようとした「すげえ泣くじゃん」。
見ていたもの見えているもの見ようとしているものに寄り添うひとたちのあたたかさを描いた「たぶんそんな感じ」。
しずかに涙をこぼしながら胸のうちにある蕾の存在にあたたかくくるまれる「春の弔い」。
生きるために必要なものも支えとなるものもは人それぞれ。理解されにくいバランスの悪いところに立ち尽くす歪んだとされるものを一穂さんのまなざしを通して切り取られると、こうも愛おしく美しく哀切漂うものになるのかとうっとりするため息を溢しながらページをめくるすばらしい短篇集でした。

