
和月
@wanotsuki
2026年7月22日
けんぐゎい
朝倉かすみ
読み終わった
読み応えのある時代小説!
手元に届いたタイミングで本作の直木賞受賞が決まり、心して読まねばと意気込んだ。
江戸を舞台にしていることもあり、女性の社会的な役割や年齢の捉え方が現代とはかなり違う。
その差にウッとダメージを受けることが多いのだけど、よくよく読んでいると形は違えど現代にも共通する部分があるのでは?と思えてきて、追撃を喰らう。
前半は特に、作中の強固な倫理観、美醜や性差の常識に嬲られる主人公の様子が辛くて呻きながら読んでいた。途中で耐えられなるかもと危惧していたが、ふゆとりよ、つるやかめの江戸言葉特有の軽快さ、少し不思議な存在が折々にふゆの中から現れる場面に救われた。
後半からは一気に道が開けたように思えて、ふゆの築いたガストホイスが読者の私にとっても拠り所のように感じられた。
生まれおちた瞬間から、私は“わたし”が定まっているのだろうか?“生まれもった性分”と称されるものは、本当に1ミリも外的要因は無いのだろうか?環境や外見に左右されない心根は存在するのか?人という生き物が生まれてから死ぬまで、私達の心身に宿る「いのち」の所在について考えさせられる物語だった。
特に心に残った一文
「おいらはおいらをどうでもいいと思わなくなった。なにしろヒデさんが大切にするおいらだからな、どうでもいいはずがないんだ」
他人から受けた掛け値なしの愛によって、自分を大切にすることができる。
対価を求めない親愛の尊さが沁みる文章だった。








