しいぷ "平等についての小さな歴史" 2026年7月23日

しいぷ
@BinomialSheep
2026年7月23日
平等についての小さな歴史
平等についての小さな歴史
トマ・ピケティ,
広野和美
ピケティ自身によるピケティ入門。 ピケティといえばクソ分厚い 『21世紀の資本』『資本とイデオロギー』だけど、本書はコンパクト。 欧米の近代史における種々の不平等について数字や課題がよくまとまっている。 一方で、制度設計論は全体的に弱い。というか設計側視点から公正な制度を志向することを検討していない。課題の裏返しみたいな直接的な富の移転を「まぁ副作用もデカいけど、過去そうだったように、大衆が集まって権力と闘って主張を通すしかないんだよね」くらいでお茶を濁している。 一般書だから深入りしなかったとかピケティが本当に一部の分野を何も分かってないというよりは、よい制度については読者への課題としてあえてこういう構成を取ったのか?とすら思う。(少なくとも経済学の一分野である開発経済学やマーケットデザインについてのピケティの理解が学部生レベルな訳がないだろう) 日本で一瞬ピケティブームが起きたあとすぐ衰退した理由も、「問題提起は分かったけど、その後のことは参考にならないから別途考えるね」という結論に至ってのものなのかもしれない。 数字と課題と欠陥のある変革案が並んでいるので、議論の出発点としては優れた叩き台として使えそう。
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