平等についての小さな歴史

18件の記録
- 🐧@penguin2025年9月13日まだ読んでる5章。相変わらず知らないことばかりで勉強モード。 選挙の不平等というと人種やジェンダーによるものを思い浮かべるけど、経済格差によって投票できる票数が全然違うという話、知らなかった。 歴史上のビックリ不平等エピソードにやたら反応してしまうのは、おそらく私の読みが浅いから… p94 スウェーデンで1865年から1911年まで適用されていた制限選挙の非常に特異な点は、有権者が一度に投票できる票数が納税額や資産、所得の規模で決められていたことだ。(…)具体的には、豊かさが最も低いグループのメンバーは1回の選挙で投票できるのは1票だけだが、最も金持ちなグループのメンバーは、各人が54票まで投票できた。(…)都市部の自治体の選挙では、一人の有権者は、個人であれ企業であれ、100票以上投票することはできなかった。ところが農村部の地方選挙ではそうした制限は一切なく、1871年の地方選挙の際にたった一人の有権者が全票数の50%以上を投票した自治体が54もあった。 P99 権利とは、権力を持つ立場を維持するために用いるツールではなく、支配から解放されるために用いるべきツールであることを見失ってはならない。
- 🐧@penguin2025年9月13日読み終わった読了。とりあえず印象に残ったところをメモ。 P150 この袋小路から抜け出すのに他の可能性はない。なぜなら、国際ルールの見直しは、北側世界にとっての課題であるだけでなく、南側世界にとっても、そして地球全体にとっても切実な課題なのだから。社会目標も環境目標もない、資本や財とサービスの自由な流通に立脚する現在の経済システムは、富裕層に利する新植民地主義に大いに通じるところがある。 P163 社会的クオータ制あるいは人種クオータ制の採用を検討する前に、まず取り組むべきはこうした差別と闘うことだ。言い換えれば、人種差別やその他の差別行為を特定し、何よりも、そういう差別行為をしている社会人(雇用主、警察官、支援者、デモの参加者、インターネットユーザーなど)に対して法的措置をとるなど、差別行為をやめさせるためのあらゆる手段を講じる必要がある。 P168 強調すべきは、欧米諸国はこれまでインドで実施されてきた留保制度に匹敵する社会的クオータ制あるいは人種クオータ制を決して採用してこなかったこと、したがって、こうした問題に対処する制度をどんどんつくりだす必要があるということだ。アメリカでは南北戦争後に元奴隷たちに賠償する約束がなされたものの、その約束は決して果たされなかった。1964年、公民権法の成立で人種差別が撤磨されたとき、ジョンソン政権は、政府調達に応募する企業に多様性を誓約することを課すなど、数々の政策を打ち出した。ところが想像とは裏腹に、連邦政府のどの法律にも大学入学、公職、議員職あるいはその他の同様のポストでのクオータ制を定める正式な制度について一切規程されていない。 P182 国際援助の概念そのものをめぐるとんでもない偽善についても強調する必要がある。まず、政府開発援助は想像以上に少なく、総額で世界GDPの0・2%に満たない(緊急人道支援は世界GDPのせいぜい0・03%)。それに引き換え、富裕国の炭素排出によって貧困国が被っている環境上の損害は、それだけで世界GDPの数%に上る。第二の問題は、これは決して些細なことではないのだが、アフリカや南アジアなどいわゆる「援助を受けている」ほとんどの国では、多国籍企業の利益や資本逃避の形で流出する資金が、実際のところ、政府開発援助による流入資金より数倍も多いことだ(表向きの国民経済計算に記載される流出資金に限定する場合も含めて、実際のフローを過小評価していると思われる)。これは、世界の中心と周辺の関係という驚くべき重要な問題点のひとつである。
- 🐧@penguin2025年9月13日まだ読んでる6章の再分配について、アツい!これまでで一番面白く読めている。税の累進性が機能していると経済が上向き、人々の生活も平等に近づく。今は累進性はあるけど実際には富裕層や大企業がすっごい節税できる仕組みになっていたりして、「真の累進性は姿を消してしまった」(P120) P128からの、第二次世界大戦後の戦争債務を帳消しにする世界各国の取り組みも面白い。日本も1946〜1947年の特別資産税の最高税率90%=累進性バカ高い政策を打ち、これによって戦争債務を清算、「大再分配」を果たしている。 完全に理解できているとは言えないけど、とにかく「やればできるんじゃん!!」という気持ちにはなる。
- 🐧@penguin2025年9月8日読んでる4章まで読む。 経済を語れない左派なのでこういう視点が乏しい…知らないことが多く、常に勉強という気持ちで読んでいる。現代も色々あるが、数十年、数百年スパンで見ると確実に格差は縮まっていること。しかしその歩みの遅さを思えば決して誇れることではないこと。 奴隷制の歴史について全然知らなくて唖然とする。1780年代のサン=ドマングでは人口の90%が奴隷だった(そんだけ奴隷が多いと反乱が起こる可能性も高くなる)、1833年にイギリス議会で奴隷制廃止法が採択され、すべての「奴隷所有者」に賠償金が支払われた、などなど。賠償金、今の感覚だと奴隷に支払われてほしいので、えーっとなってしまう。 P58 現段階では、西欧をはじめ世界で資本主義が発展したのは、国際分業と世界中の天然資源の過剰な開発、人的資源の過剰な酷使によるところが大きく、列強間のパワーバランスがこの歴史に絶対的に重要な役割を果たしたと考えるのが妥当であるように私には思える。重要なのは、国家建設には財政・軍事能力の向上だけが関与するわけではないということだ。国家建設には、さまざまな世界観、イデオロギー、アイデンティティ、諸制度、書語、また、決して出会ったことがなく将来も決して出会うことはないが、それでも否応なしに共通の国家権力が定めるルールに従うことを受け入れている何百万という人々を結びつける「想像の共同体」が密接に関わっているのだ。 P84 とくに、地球上のどの国もどの市民も、世界の多国籍企業や億万長者たちから徴収した税金の一部を受け取る権利が与えられるべきだろう。なぜなら第一に、どんな人間も保健医療や教育を受けて成長する最低限の平等な権利があるはずだから、そして第二に、富裕諸国の繁栄は、貧困国なくしてはありえなかったのだから。欧米諸国や日本や中国が豊かになったのは、ずっと以前から、国際分業、地球上の天然資源や人材の際限のない搾取によるものだ。世界のどこかで蓄積されてきた富はすべて世界経済システムが生み出したものなのだから、公正や平等への歩みについて世界レベルで問題提起するべきなのだ。
- 🐧@penguin2025年9月7日読み始めた〈あなたの著書はとても興味深いです。でも、その研究について友人や家族と共有できるように、もう少し短くまとめて書いてもらえるとありがたいですが、どうでしょう?〉 そんな読者の要望に応えて、ピケティの1000ページの本×3=3000ページを250ページに凝縮。本とはもともと膨大な知を凝縮したものだと思うし、読む前からとてもワクワクしている!箔押しの装丁もタイトルも洒落ている〜
- ナベリコブタ@naberikobuta2025年4月27日読み終わったR7-4 ★★★★☆ 『21世紀の資本』から脱落した側としては、まさにこんな本を求めていたのよ、と購入。 内容もボリュームもちょうど良かった。そして装丁が上品で好き。