yomitaos "闇祓" 2026年7月23日

yomitaos
yomitaos
@chsy7188
2026年7月23日
闇祓
闇祓
辻村深月
自分の不幸をダシに、他人に過度な共感を求めてすり寄ってくる人って、たしかにいる。そういう人に「ああ、わかるよ、大変だったね」「あなたは悪くないよ」といつも相槌を打っていると、それ以外の対応ができなくなる。否定しようものなら、「ひどい、あなただけは味方だと思ってたのに!」と激昂され、周囲にあることないこと言いふらされる。これって、何かしらのハラスメントになるのでは…と思っていたが、本書で明示された。闇ハラスメント、略して「闇ハラ」だ。 屁理屈という言葉がある。屁という言葉が付くものの、一応は理屈なので、本人に押し通す気概があれば貫けてしまうところがあると思う。社会は一定の論理が共有されていることを前提に成り立っている。例えば「いじめはいけない」し、「人前で恥をかかせてはいけない」。けれど、その前提をぶっ壊して、「オレ論理」で解釈して押し付けてくる人がいる。 その勢いがなまじ強いと、論理的な人ほど気圧される。相手にも言い分があるだろうし、少しは道理があるのかも…と判断して、飲み込んでしまうのだ。そうしたことを繰り返していくうちに、闇の論理に飲み込まれてしまう。闇ハラスメントの「闇」たる所以がここにある。 どうしても闇ハラを行う個人に目が向いてしまうが、これはその存在を許してしまう社会や構造、システムに問題がある。どれだけ個人を罰しても闇ハラは生まれるのだから。これって、優れたホラー作品が持つ視点だと思う。例えば澤村伊智の比嘉姉妹シリーズなんかがそう。 読後に振り返ってみると、この物語は多分に比嘉姉妹シリーズを意識して描かれているのではと思った。著者の辻村深月が澤村作品をリスペクトしているのは有名だし、批評性の強靭さを有していることにも納得だ。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved