
deepend
@deepend
2026年7月23日
津軽
太宰治
読み終わった
かつて読んだ
津軽出身ではあるものの津軽に詳しくないと自称する太宰が、頑張って郷土史等を頑調べて書いたのだということが分かる作品。
戦時中、しかも戦争末期に描かれたものだとは知らずに読んだので驚いた。
戦争末期頃の国民の暮らしと言えば、欲しがりません勝つまではとか、そういう困窮状態で苦しいものばかりだと思っていたから。
出版社から旅費を貰い、故郷津軽を旅する太宰は、身なりこそ悪いものの行く先行く先で大体酒にありつけるし、時にはご馳走もいただける。
意図的に戦争中の悲惨さを排除して書いてるのだろうかととも思ったけど、青森が東京よりも食糧事情が豊かだったのは間違いない。
個人的に印象に残ったのは卵味噌のくだり。
津軽からほど近い地域の出身の人が、風邪気味の私に卵味噌を作ってくれたことを思い出して「あっ」となった。
てっきりその人の家庭の独自の料理だとばかり思い込んでいたので、津軽の人が昔から病気の時に卵味噌を食べていたのだと知って感慨深かった。
志賀直哉をくさして場の空気を壊したり、信ぴょう性のない津軽の伝説を目の当たりにして共感性羞恥のように恥ずかしがったりする太宰が人間臭くて良かった。
あとやっぱり気障ったらしい。
最後の、
"さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。"(p.211)
も何なんだよ。それから2年くらいで死んじゃうくせに。絶望するなはこっちの台詞。
