
ユキヲ
@momonankotsu8
2026年7月23日
破獄
吉村昭
読み終わった
「漂流」が面白いとの事で図書館あったこちらを読了。
日本の戦時下に於ける監獄と囚人、看守の力の拮抗と時には共同体として支え合った。
当時の情勢を具体的且つ具に知れるほぼノンフィクション的な小説。
物語の軸となる佐久間清太郎の超人的な脱獄譚を痛快に語るのかと思いきや、戦時下の徴兵や食糧難に国民と同じく困窮し、囚人の収容人数が限界を突破している中いかに安全な収監と規律を遵守していくか、佐久間の破獄や収監先の変換ともに切り替わっていく看守長の目から語られる。
府中刑務所に米軍用の貨物車(人が乗るように出来て居ないので居心地最悪)で佐久間とともに数名の看守が護送される描写が、囚人と看守の立場でありながら助け合い、共に劣悪な環境を乗り切っていく描写が、なんとも忍耐強い当時の日本人らしく、健気だった。
人材も物資も食糧も手薄な中、囚人の力も借りながら、環境と法を遵守した監獄の方々は人間的にも尊敬されるべき存在だったのだなと感慨深い。