
wingfeet
@wingfeet
2026年7月24日
図南の翼 十二国記
小野不由美
読み終わった
『風の海 迷宮の岸』と表裏になっている物語。『風の海〜』ではほぼ描かれなかった黄海を旅する昇山者達の苦難が本作の中心部分。主人公は『風の万里 黎明の空』で供王としてチラリと登場した12歳の少女:朱晶。その時の印象は良くなかったけど、本作では彼女の考え方や行動を追えて印象は一変。取り残された徒歩の従者達(他人の)を助けに行くくだりは心を打つ。
利広は出てきた時から何処かの国の重要人物だろうなと読めていたけれど、終盤に出てきたあの人は、何でここにいるの?ってびっくり。
個人的には不器用で朴訥そうな供麒の記述がもう少し欲しかったなあ。
それにしてもノブレス・オブリージュとまでは言わないけれど、我が国の政治家や富裕層に、せめて朱晶のような考え方ができないものかと。
「君は王になったら、贅沢三昧ができるね。たくさんの下官が君の足許に身体を投げ出して礼拝する」
「ばかみたい。あたし、いままでだってそりゃあ贅沢してきたわよ。立派な家だってあるし、利発で可愛いお嬢さんだって、大切に大切にされてきたんだから」
「なのに荒廃が許せないんだね。ーーなぜ?」
「そんなの、あたしばっかり大丈夫なんじゃ、寝覚めが悪いからに決まってるじゃない」
「そう……」
「国が豊かになって、安全で、みんなが絹の着物を着て、美味しいものをお腹いっぱい食べてたら、あたし着替えたりご飯を食べたりするたびに、嫌な思いをせずに済むのよ。心おきなく贅沢のし放題よ」
(本文373-4ページ)


