
ポチ
@takupochi_1993
2026年7月24日
推したちとどう生きるか
三宅香帆
読み終わった
「推し文化について考察した本」くらいのつもりで読むと、少し痛い目を見るかもしれない。
この本で語られるのは、推し活の楽しさや問題点だけではない。推し文化を入口にして、日本社会における家族、共同性、労働、市場の歴史までを掘り下げていく、もっと根本的な文化論だ。それが三宅さんらしい柔らかな文体で語られる。
労働と市場に埋め尽くされた生活のなかで、私たちはなぜ推しを必要とするのか。推しを育て、守ろうとする母性的な共同性を暴走させず、それでも推しについて自分の言葉で語るにはどうすればいいのか。そんな問いを読者に投げかけてくる。
推し文化論という皮で包まれているが、その中身は日本人論であり、戦後社会論でもある。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』と同じく、身近でポップなテーマを扱いながら、そこに本格的な批評を忍ばせるのがうまいと思った。
三宅香帆の文章は、甘いあんパンだと思ってかじると、あとから黒胡椒が効いてくる。




