
みー
@mi_no_novel
2026年7月25日
ゾンビ回収婦
小砂川チト
読み終わった
大好きな小砂川さんが芥川賞を受賞した。なんて嬉しい……!!
AIが絡むお話と聞いていたけれど、実はその中身は……祈りのような展開だった。
現実と虚構が入り交じった世界で、微睡みながら仕事に精を出すわたし。アラスカに愛を見出すも、世界のバグによって終わってしまった関係。
見えないところで働くふたりが、間接的に気持ちを通じあえていたのが良かった。ちょうどロシア語を学んでいたので"Мишка косолапый"の仕掛けに気付いたときはハッとした🧸
この世界のどこかにも、人知れずに働く人がいる。VRの世界も現実の世界も、大して変わらないのかもしれないね。
p91
文節ごとにしきりにまばたきを打ちながら、クマが探り探り言う。
はたらく大人たち、しかしみんなネクタイを締めた幼児であって、ビジネスのネゴシェーションを交しているようでただ、「褒めて」「こわいよ」「抱っこして」と言い合っているだけだったとしたら、もしそうだとしたら──どうでしょう?
発生する賃金のためにとか、生活のためにとかいうのはじつはどれもぜんぶが、体のいい建前です。それにかこつけてだれかとかかわりあいになりたいというのが、ほんとうです。傷ついた大人たちはもうすでに、そうした大義なしにはこわくてまともに人間関係をつくれないから、そこにたがいの〈役割〉を噛ませるのです。役なのだから仕方がないと、芝居の最中にこそこそ愛情をくすねては、物陰でいやしく頑張るのです。そんなふうに仕事とか給金とかいうのは多分、人類の編み出した最大の照れ隠しなのでは、なかったでしょうか?




