酸菜魚 "南洋標本館" 2026年7月25日

酸菜魚
酸菜魚
@suancaiyu
2026年7月25日
南洋標本館
南洋標本館
葉山博子
台湾の日本統治時代、台湾で生まれた内地人と、日本の教育を受けた本島人が時代の波に翻弄されながら、植物学という綱を頼りに生きていくドラマ。 ソフトカバーの単行本で500ページ超え、壮大な物語だ。 幼少期から始まり、その色濃い生涯を閉じるところまでが描かれており、NHKの連続テレビ小説のようだ。 本島人として内地人から差別を受けていた陳が、今度はインドネシアにおいて日本人の永山として統治側に回ったときの心境が心に残った。 日本人名を名乗りインドネシア人を統治しながら、陳という本島人がいたことを決して忘れることができないという分離が重くのしかかっていて、心が締め付けられる。 植物学という実学にはならない学問について、熱を入れる学者たちの使命感とある種の諦念が印象的。 人間はいずれいなくなるが、植物はこの先も種を残し続ける。人間がいくら植物を分類したって、植物にはなにも影響しない。それでも、人間が地球に生きながらえる限り、植物学者は次の世代に自らの研究成果を継承し続けていくのだ。 戦時に求められる即物的なものと、植物学のようなロマンを追い求めるものとの対比が、この物語を戦争小説以上のものにさせているように思う。
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