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@naschoko
2026年7月23日
多類婚姻譚
凪良ゆう
読み終わった
借りてきた
セクシュアリティやジェンダー、格差など息苦しさを抱えて生きる現代の人々の「結婚」をテーマとした5編からなる連作短編集。
どこかへ逃げても楽にはならない閉塞感やままならなさが印象的な作品。広がっていく格差や将来への不安、価値観のアップデートなど現代を覆う息苦しさの描写が生々しい。直視しないよう心の底に押し込めておいたものを暴かれるような感覚があるが、その苦しみが救われるわけでもないので読むのが辛いと思う人もいそう。
「人間関係って『わたしのことをわかってほしい』だけじゃ結べないものなのよ?」
1編目『Thank you for your understanding』の主人公の母のこのひと言が耳に痛い。性的指向に関わる話を簡単に一般化してよいのかは迷うところだけれど、上記については自分の中にもある甘えを指摘された気分。
2編目『Beautiful Dreamer』はただただ苦しい。どうにもならない閉塞感と、目の粗い紙やすりを当てられるようなざらざらした痛み。
「わたし程度で貧しいなんて言っちゃいけない。だってなんとか満たされているように擬態して生きていられてるんだから。本当の貧困ってもうそんな擬態すらできなくなることだ。でも私とそこを隔てる川はとても細くて、向こう岸にいる人たちがありありと見える」という一節で表される感覚が重くのしかかる。
『Position Talk』は結婚を前にした男性視点。
セクハラ、パワハラ、昔は当たり前でも今はダメなことがたくさんあって価値観をアップデートしなくてはやっていけない。意識的/無意識を問わず男性による搾取は確かにあるのだろうが、苦しいほどがんじがらめになっている現状にも思うところはある。
小説として読んで面白いと感じたのは『小鳥たち』と『C'est la vie』。
前者はほっとできる一編。しっかりとした名前のある関係じゃなくてもいい。溺れかけたときに水に飛び込んで助けてくれる人がいないとしても、浮き輪を投げてくれる人はいる。
後者で描かれる「頭ではわかっていても割り切れない感情」もとてもよい。ままならない人生をただそのままに生きていくしかないんだろう。





