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@naschoko
2026.01-📚️ 主に小説を読みます 読んだ本の内容と感想メモ
  • 2026年9月30日
    壜の中の手記
    壜の中の手記
    実在した作家アンブローズ・ビアスの失踪を題材とした表題作『壜の中の手記』をはじめとする十二の短編。 ミステリかと思いきやSFっぽいものもあり、どのジャンルともはっきり言えない短編集だった。 無人島で見つかった白骨と紙片が物語るサーカス団員の運命『豚の島の女王』、武器商人の一生を描く『死こそわが同志』が好き。『骨のない人間』もラストが秀逸。
  • 2026年9月29日
    夏蚕の翅
    夏蚕の翅
    北海道南西部の小さな港町で二人で暮らす姉弟は「あばずれの子」として疎まれている。閉じた世界で行われる静かな暴力と緩やかな回復の物語。 ですます調で書かれた地の文と、登場人物たちの中学生には似つかわしくない言葉遣いが印象的。どことなく歪で現実から遠く離れたような、繭に包まれているかのような雰囲気が心に残る。 アイヌについて語る箇所で急に教科書的な硬さを感じて現実に引き戻されてしまったのは私が北海道出身だからだろうか。 静かに光が差すような終わり方がいい。
  • 2026年9月26日
    PRIZE-プライズー
    どうしても直木賞が欲しいベストセラー作家・天羽カインと彼女を支える編集者たちを描いた物語。 権威ある人にわかりやすい形で認めてもらいたい、軽んじられたくないという承認欲求を隠そうともしない作家と、憧れの作家の特別な存在になれるという優越感に飲み込まれ相手と自分の境界が曖昧になってしまった編集者。 多かれ少なかれあって当然の感情だけど、それをうまく飼い慣らすのはむずかしい。
  • 2026年9月22日
    黄金の軍鶏
    黄金の軍鶏
    メキシコの田舎で病気の母親と暮らす貧しい男ディオニシオ。一羽の軍鶏を譲り受けたのを機に人生が一変する。 シンプルで淡々とした文体で紡がれる成り上がりと破滅の物語。ほんの100頁強で一気に駆け抜けていく。熱気に満ちた闘鶏場の描写がいい。
  • 2026年9月20日
    余命一週間の探偵として
    余命一週間の探偵として
    何者かに頭を殴られ意識不明となったジェット。一命を取り留めたものの脳動脈瘤が形成され余命一週間を宣告される。幼馴染のビリーの助けを借りて「自分を殺した」犯人探しに挑む。 「自分が死ぬまでに残された時間」というタイムリミット付きのフーダニットミステリ。 自らの死が迫る中、「時間がない」を免罪符のようにして勢いよく進んでいく主人公がとてもパワフル。 謎解きはもちろんのこと、最期の一週間を幼馴染とともに精一杯駆け抜けたジェットの姿がいい。
  • 2026年9月17日
    幽冥の岸 十二国記
    待ってた!
    幽冥の岸 十二国記
  • 2026年9月16日
    けんぐゎい
    けんぐゎい
    疱瘡を患い全身に痘痕の残るふゆ。利発なふゆは手習い所の手伝いをするが、師匠の養子の宗三郎に手籠めにされ子を孕む。現人神と崇められる女性産医との出会いを機にふゆの人生は変わっていく。 いまいち感想がまとまらないので一旦そのまま置いておく。 面白かったようなそうでもないような。ただエネルギーに満ちた作品だと思う。作中で描かれる生と性、世間の物差しで測られて勝手に「圏外」に置かれた者たちのどろどろとした怒りや憤りは生々しいと感じるほど。講談のような独特の語り口と相まってインパクト大。 舞台は江戸時代だがあまり時代小説っぽくはない印象。ユニコーンの描写があったりファンタジックな一面も。 ジェンダー視点で見ると「圏外とされ男性からの暴力に晒されてきた女性たちが自らの居場所を掴む話」と言えそう。ただ、宗三郎のラストはさすがに善しとはできない。あれを善しとすると「怪物」になってしまう気がしてまだ読み込みきれていない。
  • 2026年9月9日
    神の光
    神の光
    消失ミステリに特化した推理短編集。異なる場所、時間で起こる建造物の消失という謎を解く5つの短編。 大掛かりな仕掛けであるせいか、ちょっと無理があるのでは?と思ってしまう話もあるけれど楽しく読めた。幻想的な『藤色の鶴』と仄暗い雰囲気のある『未完成月光 Unfinished moonshine』が好み。
  • 2026年9月6日
    すべての石に宿る神
    すべての石に宿る神
    1914年、イギリス人考古学者のヴィヴィアン・ローズはラブラウンダでの遺跡発掘に参加する。同じ頃、パシュトゥーン人であるカイユームはインド兵として西武戦線にいた。1915年、ペシャワールへと向かう列車で出会った二人の人生は15年後、カイユームの弟ナジーブを介してペシャワールで再び交わっていく。 当時のイギリス/英領インド社会、両国における女性の立場、宗主国と植民地、民族のアイデンティティ、英領インドの独立運動など興味深いテーマが満載。今までほとんど触れてこなかった時代と地域で理解しきれなかった部分も多くあるけれど読み応えがあってよかった。 しかしどうにも読みにくい。原文のせいなのか訳文のせいなのかわからないけれど、日本語としていまいち自然に入ってこない。テーマが面白かっただけに少し残念。
  • 2026年9月1日
    殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス
    身代わりとなった親友を救うために首都へと急ぐメロスがなぜか行く先々で事件に巻き込まれる。 気軽に読めるコメディ。 フィジカルに頼りすぎるメロスとあまりにも適当すぎる登場人物の名前で笑ってしまった。
  • 2026年8月30日
    グデリアの死んだ家
    グデリアの死んだ家
    村に洪水が押し寄せる中、避難を拒んで自宅に残った81歳のグデリアは男女の死体が家の前を流れていくのを目撃する。崩壊しそうな家に彼女が固執する理由とは? あっと驚くような結末があるミステリではない。 息子を喪った1984年、酒に溺れた夫と過ごす1998年、洪水が起きた2024年の3つの時間軸でグデリアの人生が語られる。 家庭のことは妻の仕事であった時代に息子を理不尽な理由で喪ったグデリアの狂気じみたと言っていいほどに強い信念が恐ろしく、そして哀しい。
  • 2026年8月22日
    劇場という名の星座
    2025年2月をもって休館した帝国劇場。舞台俳優、裏方、劇場の案内係や売店スタッフ、そして観客。帝劇に関わってきた人たちを描いた8つの短編。 小川洋子の小説が好き。 硬質で密やか。きれいに透き通った薄い氷を一枚隔てて覗き込むような世界。小川洋子が帝劇を描いたらどうなるのだろうと楽しみにしていたが、今回はうまく入り込めなかった。 あ、これは菊田一夫かな? このときの『モーツァルト!』、私も観た。 ジャン・バルジャンって狡猾だっけ? これは山口祐一郎だろうなぁ… 実際に帝劇という場所を訪れた記憶がノイズになって小説の世界から現実に引き戻されてしまう。 エレベーター係といった「顔の見えない人たち」にまつわる話はよかった。
  • 2026年8月15日
    オービタル
    オービタル
    24時間で地球を16周する宇宙ステーション。そこで任務にあたる6人の宇宙飛行士たちのありふれた一日を描く。 いつも通りの任務をこなす中、故郷である地球に思いをはせる飛行士たち。特別な出来事が起こるわけでもなく宇宙という非日常の中の日常が静かに描かれる。話に起伏がないせいか、やや淡白すぎる感も。 対して宇宙から見た地球の描写はドラマティック。そこには陸地と海の間以外に境界線はなく、人間が決めた国境など見えない。長い宇宙の歴史からすれば人類の歴史もその存在そのものすらもほんの一瞬の出来事。そんな地球の壮大さに圧倒される。
  • 2026年8月11日
    地雷グリコ
    地雷グリコ
    勝負事にやたらと強い女子高生・射守矢真兎。たった一枠しかない文化祭での屋上使用権を賭けた表題作『地雷グリコ』から始まる5つのゲームに挑む。 タイトルからしてデスゲームかと思いきや、爽やか青春小説だった。 元になったゲームがグリコやじゃんけんなど馴染みのあるものなのでイメージしやすいし、いわゆる「ありがち」なキャラ描写のおかげで退屈しない。 以下、ネタバレ注意。 一点よくわからなかったのは『フォールーム・ポーカー』の下記の描写。 ♠3と♠4を「めくって確認」したのは「触れていいカードは交換するカードのみ」というルールに抵触しないんだろうか?リモート監視していた審判には見えてなかったってことかな? 「ルールの穴をついたイカサマ」という描写もなかったせいかちょっともやっとする。
  • 2026年8月7日
    バッタを倒しにアフリカへ
    バッタを倒しにアフリカへ
    ファーブル昆虫記に感銘を受けて昆虫学者を志した著者がサバクトビバッタの研究のため単身サハラ砂漠へ。モーリタニアでの3年に及ぶ奮闘記。 まえがきから面白すぎて笑ってしまった。 文化の違いや過酷な環境、アフリカまで行ったのにバッタがいなかったり、サソリに刺されたり、無収入の危機に瀕したり… 苦労もたくさんあったと思うのだけれど、ユーモラスな語り口のおかげで暗くならない。 著者のバッタに対する熱量とめげない前向きさ、周囲の人への誠実さがとても素敵。
  • 2026年8月4日
    帰れない探偵
    帰れない探偵
    「世界探偵委員会連盟」に所属する探偵である「わたし」。急な坂の街で起きた停電を境に探偵事務所兼自宅に帰れなくなった「わたし」が依頼によって世界を巡る。 『今から十年くらいあとの話』という書き出しで始まる7つのエピソード。探偵の話ではあるけれどミステリではない。 登場人物の名前も出てくる街の名前もはっきりとは書かれない。霞がかったような不思議な感覚。記録と記憶の不確実性、冒頭の一文で揺らぐ時間軸が印象的。 帰れないのが「自宅へと通じる路地が見つからない」のと「国の統治体制が変わって帰れない」のダブルミーニングなのが面白い。
  • 2026年7月29日
    長安のライチ
    長安のライチ
    十八年間コツコツ働いてやっと安心して住める家を手に入れたばかりの下級役人が、2500km離れた嶺南から楊貴妃の誕生日に合わせて生のライチを運ぶという無理難題を押し付けられる。 「権力者たちの理不尽な要求に翻弄される下っ端」という構図に思い当たる節がありすぎる。 宮中の権力争いや高貴な人々のわがままに振り回される下級役人自身も、搾取される民の側からすると横暴な権力の一部であるというのが何ともほろ苦い。
  • 2026年7月23日
    多類婚姻譚
    多類婚姻譚
    セクシュアリティやジェンダー、格差など息苦しさを抱えて生きる現代の人々の「結婚」をテーマとした5編からなる連作短編集。 どこかへ逃げても楽にはならない閉塞感やままならなさが印象的な作品。広がっていく格差や将来への不安、価値観のアップデートなど現代を覆う息苦しさの描写が生々しい。直視しないよう心の底に押し込めておいたものを暴かれるような感覚があるが、その苦しみが救われるわけでもないので読むのが辛いと思う人もいそう。 「人間関係って『わたしのことをわかってほしい』だけじゃ結べないものなのよ?」 1編目『Thank you for your understanding』の主人公の母のこのひと言が耳に痛い。性的指向に関わる話を簡単に一般化してよいのかは迷うところだけれど、上記については自分の中にもある甘えを指摘された気分。 2編目『Beautiful Dreamer』はただただ苦しい。どうにもならない閉塞感と、目の粗い紙やすりを当てられるようなざらざらした痛み。 「わたし程度で貧しいなんて言っちゃいけない。だってなんとか満たされているように擬態して生きていられてるんだから。本当の貧困ってもうそんな擬態すらできなくなることだ。でも私とそこを隔てる川はとても細くて、向こう岸にいる人たちがありありと見える」という一節で表される感覚が重くのしかかる。 『Position Talk』は結婚を前にした男性視点。 セクハラ、パワハラ、昔は当たり前でも今はダメなことがたくさんあって価値観をアップデートしなくてはやっていけない。意識的/無意識を問わず男性による搾取は確かにあるのだろうが、苦しいほどがんじがらめになっている現状にも思うところはある。 小説として読んで面白いと感じたのは『小鳥たち』と『C'est la vie』。 前者はほっとできる一編。しっかりとした名前のある関係じゃなくてもいい。溺れかけたときに水に飛び込んで助けてくれる人がいないとしても、浮き輪を投げてくれる人はいる。 後者で描かれる「頭ではわかっていても割り切れない感情」もとてもよい。ままならない人生をただそのままに生きていくしかないんだろう。
  • 2026年7月17日
    冒険者カールの地球ダンジョン 2
    冒険者カールの地球ダンジョン 2
    相棒の猫ドーナツとともにダンジョンでのデスゲームに挑む冒険者カール。シリーズ第二弾では第二層へ突入。 原作では邦訳の1&2で1冊らしいので、1から間を空けずに読んだほうがよいかも。 生配信が始まって、この先は番組司会者や運営サイドとのやり取りも大事になっていきそう。 テンポよくさくさく読めるけど1冊で一層しか進まないので終わりが見えない…
  • 2026年7月12日
    紙の梟 ハーシュソサエティ
    人ひとり殺したら死刑。厳罰化が進んだ日本を舞台とした4つの短編と1つの中編からなるミステリ。 最初の4編は「人をひとり殺したら死刑になる」という特殊なルール下では何が起こるのかという問いかけがメインでミステリ色強め。 いじめ首謀者が殺害される『レミングの群れ』が印象的だった。 それに対し、第二部では犯した罪と許しがテーマ。 罪の重さと刑罰の重さ、罪滅ぼしは可能なのか。死刑制度の是非については簡単に答えを出せるものではないが考え続けていきたい。
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