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@naschoko
2026.01-📚️
主に小説を読みます
読んだ本の内容と感想メモ
- 2026年8月15日
オービタルサマンサ・ハーヴィー,小澤身和子借りてきた読み終わった24時間で地球を16周する宇宙ステーション。そこで任務にあたる6人の宇宙飛行士たちのありふれた一日を描く。 いつも通りの任務をこなす中、故郷である地球に思いをはせる飛行士たち。特別な出来事が起こるわけでもなく宇宙という非日常の中の日常が静かに描かれる。話に起伏がないせいか、やや淡白すぎる感も。 対して宇宙から見た地球の描写はドラマティック。そこには陸地と海の間以外に境界線はなく、人間が決めた国境など見えない。長い宇宙の歴史からすれば人類の歴史もその存在そのものすらもほんの一瞬の出来事。そんな地球の壮大さに圧倒される。 - 2026年8月11日
地雷グリコ青崎有吾借りてきた読み終わった勝負事にやたらと強い女子高生・射守矢真兎。たった一枠しかない文化祭での屋上使用権を賭けた表題作『地雷グリコ』から始まる5つのゲームに挑む。 タイトルからしてデスゲームかと思いきや、爽やか青春小説だった。 元になったゲームがグリコやじゃんけんなど馴染みのあるものなのでイメージしやすいし、いわゆる「ありがち」なキャラ描写のおかげで退屈しない。 以下、ネタバレ注意。 一点よくわからなかったのは『フォールーム・ポーカー』の下記の描写。 ♠3と♠4を「めくって確認」したのは「触れていいカードは交換するカードのみ」というルールに抵触しないんだろうか?リモート監視していた審判には見えてなかったってことかな? 「ルールの穴をついたイカサマ」という描写もなかったせいかちょっともやっとする。 - 2026年8月7日
バッタを倒しにアフリカへ前野ウルド浩太郎読み終わったKindleファーブル昆虫記に感銘を受けて昆虫学者を志した著者がサバクトビバッタの研究のため単身サハラ砂漠へ。モーリタニアでの3年に及ぶ奮闘記。 まえがきから面白すぎて笑ってしまった。 文化の違いや過酷な環境、アフリカまで行ったのにバッタがいなかったり、サソリに刺されたり、無収入の危機に瀕したり… 苦労もたくさんあったと思うのだけれど、ユーモラスな語り口のおかげで暗くならない。 著者のバッタに対する熱量とめげない前向きさ、周囲の人への誠実さがとても素敵。 - 2026年8月4日
帰れない探偵柴崎友香借りてきた読み終わった「世界探偵委員会連盟」に所属する探偵である「わたし」。急な坂の街で起きた停電を境に探偵事務所兼自宅に帰れなくなった「わたし」が依頼によって世界を巡る。 『今から十年くらいあとの話』という書き出しで始まる7つのエピソード。探偵の話ではあるけれどミステリではない。 登場人物の名前も出てくる街の名前もはっきりとは書かれない。霞がかったような不思議な感覚。記録と記憶の不確実性、冒頭の一文で揺らぐ時間軸が印象的。 帰れないのが「自宅へと通じる路地が見つからない」のと「国の統治体制が変わって帰れない」のダブルミーニングなのが面白い。 - 2026年7月29日
長安のライチ池田智恵,立原透耶,馬伯庸借りてきた読み終わった十八年間コツコツ働いてやっと安心して住める家を手に入れたばかりの下級役人が、2500km離れた嶺南から楊貴妃の誕生日に合わせて生のライチを運ぶという無理難題を押し付けられる。 「権力者たちの理不尽な要求に翻弄される下っ端」という構図に思い当たる節がありすぎる。 宮中の権力争いや高貴な人々のわがままに振り回される下級役人自身も、搾取される民の側からすると横暴な権力の一部であるというのが何ともほろ苦い。 - 2026年7月23日
多類婚姻譚凪良ゆう借りてきた読み終わったセクシュアリティやジェンダー、格差など息苦しさを抱えて生きる現代の人々の「結婚」をテーマとした5編からなる連作短編集。 どこかへ逃げても楽にはならない閉塞感やままならなさが印象的な作品。広がっていく格差や将来への不安、価値観のアップデートなど現代を覆う息苦しさの描写が生々しい。直視しないよう心の底に押し込めておいたものを暴かれるような感覚があるが、その苦しみが救われるわけでもないので読むのが辛いと思う人もいそう。 「人間関係って『わたしのことをわかってほしい』だけじゃ結べないものなのよ?」 1編目『Thank you for your understanding』の主人公の母のこのひと言が耳に痛い。性的指向に関わる話を簡単に一般化してよいのかは迷うところだけれど、上記については自分の中にもある甘えを指摘された気分。 2編目『Beautiful Dreamer』はただただ苦しい。どうにもならない閉塞感と、目の粗い紙やすりを当てられるようなざらざらした痛み。 「わたし程度で貧しいなんて言っちゃいけない。だってなんとか満たされているように擬態して生きていられてるんだから。本当の貧困ってもうそんな擬態すらできなくなることだ。でも私とそこを隔てる川はとても細くて、向こう岸にいる人たちがありありと見える」という一節で表される感覚が重くのしかかる。 『Position Talk』は結婚を前にした男性視点。 セクハラ、パワハラ、昔は当たり前でも今はダメなことがたくさんあって価値観をアップデートしなくてはやっていけない。意識的/無意識を問わず男性による搾取は確かにあるのだろうが、苦しいほどがんじがらめになっている現状にも思うところはある。 小説として読んで面白いと感じたのは『小鳥たち』と『C'est la vie』。 前者はほっとできる一編。しっかりとした名前のある関係じゃなくてもいい。溺れかけたときに水に飛び込んで助けてくれる人がいないとしても、浮き輪を投げてくれる人はいる。 後者で描かれる「頭ではわかっていても割り切れない感情」もとてもよい。ままならない人生をただそのままに生きていくしかないんだろう。 - 2026年7月17日
冒険者カールの地球ダンジョン 2マット・ディニマン,中原尚哉借りてきた読み終わった相棒の猫ドーナツとともにダンジョンでのデスゲームに挑む冒険者カール。シリーズ第二弾では第二層へ突入。 原作では邦訳の1&2で1冊らしいので、1から間を空けずに読んだほうがよいかも。 生配信が始まって、この先は番組司会者や運営サイドとのやり取りも大事になっていきそう。 テンポよくさくさく読めるけど1冊で一層しか進まないので終わりが見えない… - 2026年7月12日
紙の梟 ハーシュソサエティ貫井徳郎読み終わったKindle人ひとり殺したら死刑。厳罰化が進んだ日本を舞台とした4つの短編と1つの中編からなるミステリ。 最初の4編は「人をひとり殺したら死刑になる」という特殊なルール下では何が起こるのかという問いかけがメインでミステリ色強め。 いじめ首謀者が殺害される『レミングの群れ』が印象的だった。 それに対し、第二部では犯した罪と許しがテーマ。 罪の重さと刑罰の重さ、罪滅ぼしは可能なのか。死刑制度の是非については簡単に答えを出せるものではないが考え続けていきたい。 - 2026年7月10日
抹殺ゴスゴッズ飛鳥部勝則借りてきた読み終わった高校生の利根詩郎は友人とともに悪魔の創造者「ゴスゴッズ」、怪神「コドクオ」を創る。 詩郎の同級生が目撃したという殺人事件をめぐる令和編と、詩郎の父が関わった、怪人「蠱毒王」から地元の名士への脅迫状に端を発する殺人事件である平成編。二つの時代を行き来する怪奇ミステリ。 登場人物の癖が強い。 昭和の探偵小説を思わせるエログロ、厨二病感のあるオカルト、アート、廃坑探索などが闇鍋のごとくごった煮になっている。あまりに癖が強くて最初の200ページ位は読むのに苦労したほど。 奇抜な話のわりに後半は読みやすいが、癖が強すぎて人にはちょっと薦めにくい。 誤植の多さが気になったのだけれど、作中の『某ミステリ大賞宛てに送信した』下りのせいだろうか? - 2026年7月1日
- 2026年6月30日
Goldstrand: Roman | Ausgezeichnet mit dem Preis der Leipziger Buchmesse 2026 (Belletristik) (German Edition)Poladjan,Katerina読み終わったKindleドイツ語2026年のライプツィヒ・ブックフェア賞受賞作。 ローマで暮らす映画監督のEliはカウンセラーであるDottoressaの元で自らの人生を振り返る。 映画のような本という印象。Eliの語る内容は過去に起きたことなのかそれとも彼の創作なのか、記憶と幻想が入り乱れ混じり合うような感覚。 孤独と喪失に満ちたEliの人生を描いているが、物語全体の印象は暗くはない。明るいとまでは言えずともどこかカラッとした雰囲気がある。感情的になりすぎず登場人物の感情から一定の距離を保っているようにも感じられる。 すべてが言葉ではっきりと語られているわけではなく謎めいている部分が多いせいか、正直どう解釈すればいいか悩む箇所も多い。 - 2026年6月28日
台湾漫遊鉄道のふたり三浦裕子,楊双子借りてきた読み終わった昭和十三年、日本統治下の台湾。巡回講演会のために招かれた日本人作家の青山千鶴子は台湾人通訳の王千鶴と出会う。台湾縦貫鉄道で各地を巡る二人の約一年にわたる交流の物語。 ライトな文章とわかりやすいキャラクター、そして台湾グルメが満載の本。 明るく豪快な千鶴子と控えめな千鶴。 千鶴子は確かに持てる者の独りよがりな傲慢さのある人物だけれど、真っすぐでやはり「いい人」なのだと思う。千鶴子との間に線を引きつつも嫌いになれなかった千鶴の気持ちもわかる。 統治者である内地人と被統治者である本島人の間にに「平等な友情」は成立し得ない。ただ、たとえそれが千鶴子の望んだ「友達」という関係ではなかったとしても、お互いがお互いにとって特別な人であったんだろうと思わせてくれる物語だった。 「この世界で、独りよがりな善意ほど、はた迷惑なものはございません」 - 2026年6月23日
冒険者カールの地球ダンジョン 1マット・ディニマン,中原尚哉借りてきた読み終わった宇宙人によって人類はほぼ滅亡、地球は全十八層からなるダンジョンに作り替えられてしまう。ダンジョン探索は星々に生配信されており、偶然生き残った主人公は元カノの飼い猫とともに探索者としてダンジョン攻略に挑戦する羽目になる。 さくっと読めるエンタメRPGノベル。 開始から10ページにも満たない間に人類が滅び、上は革ジャン、下はパンツ、足元はクロックスという訳のわからない格好でダンジョンに挑む羽目になる主人公カール。ダンジョンで遭遇する敵やどんどん減っていく生存者の数に葛藤する誠実さがよい。 高貴なお猫さまプリンセス・ドーナツとその護衛カールのやり取りも楽しい。 難点は1巻終わりの時点で第一層攻略までしか進んでいないこと。先はだいぶ長い。 - 2026年6月20日
その可能性はすでに考えた井上真偽読み終わったKindle十年以上も前に起きた新宗教団体の集団自殺事件。その唯一の生き残りである少女が事件の真相解明を探偵に依頼する。 探偵の目的が事件を解決するのではなく、「奇蹟の存在証明」であるというのがユニーク。 複数の相手がトリックの可能性を提示し、それに対して探偵が反証を挙げるという形で話が進む。提示しされるトリックは可能性さえあればOKというものなのでもやっとする箇所もあるけれど、ミステリの"how"が好きな人にはよいかも。 キャラクター造形はちょっと極端すぎるかな… - 2026年6月19日
Dunkle Momente: Roman (German Edition)Hoven,Elisa読み終わったKindleドイツ語邦題:暗黒の瞬間(エリーザ・ホーフェン/浅井晶子) 刑事事件を担当するベテラン弁護士である主人公がそれまでに携わった9つの事件について語る連作短編集。 著者は刑法学者でありザクセン州の憲法裁判所の裁判官。法律家であり作家、ドイツ、法廷モノとくるとやっぱりフェルディナント・フォン・シーラッハを思い出してしまう。 法を枠組みと捉え、淡々と硬質な語り口で物語を綴るシーラッハとは異なり、愚かさや弱さ、そして悪意といった人の感情を中心に据えている印象。 著者によると作中で語られる事件は実際の裁判や出来事に着想を得たとのことだけれど、フィクション感が強いように感じる。中にはさすがにそれは…と思ってしまうやや突拍子もないものも。 印象深いのは"Salz"(『塩』)。無罪判決は万人にとって望ましい結果とは言えず、刑罰により救われることもある。 ドイツと日本の法制度の違いが興味深い。 - 2026年6月13日
乱歩と千畝青柳碧人借りてきた読み終わった江戸川乱歩と杉原千畝。同じ学校、大学に在籍していた二人がもし若い頃に出会っていたら?という仮定のもとに描かれるフィクション。 作家と外交官というまったく違う道を進んだ二人が迷い憤りつつも、人に恵まれ生き抜いていく姿が眩しい。 各エピソードがさらっと進みすぎてしまう感は否めないけれど、爽やかな読後感でよかった。 横溝正史や松本清張といった作家たちが登場するのも楽しい。 - 2026年6月10日
今日未明辻堂ゆめ読み終わったKindle日頃よく目にする、読んでもすぐに忘れてしまうようなありふれた三面記事。そんな小さな事件や事故が起こるまでの経緯を描いた短編集。 5つの話すべてがニュース記事から始まる。平和な毎日、順調な人生があっという間に暗転していく。どの話にも哀しみがあり、そして悪意もある。『そびえる塔と街明かり』はあまりにも辛い。 - 2026年6月8日
タイム・シェルターゲオルギ・ゴスポディノフ,寺島憲治借りてきた読み終わった認知症やアルツハイマーを治療する「過去のためのクリニック」。ガウスティンとその助手である語り手はいつくもの時代を再現し、匂いや物語を集め、過去をよみがえらせ始める。 とてもよかった。 認知症などにより失われる個人の記憶と、「輝かしい過去」へのノスタルジーといった集団の記憶という二つの「記憶」が軸。 第一章では個人の記憶が断片的に語られる。順序立てて語られるわけではなく、輪郭が曖昧なまま話が進んでいく。過去があたかも無害であるような顔をしてじわじわと広がっていく様が不穏。 第二章以降は雰囲気が一変する。過去はすでにあらゆるところに忍び込んでいて、欧州各国は「過去を選択する国民投票」によりどの年代に回帰するかを選ぶことになる。 過去へ戻ることで記憶をなくし、それによって未来までもが失われる。ポピュリズムが台頭する今、過去が蘇って世界が崩壊していく様子には考えさせられる。「記憶喪失で最初に消えてなくなるのは、未来の観念そのものである」という一文がいい。 祖父母が亡くなり両親も高齢となった。私の子供の頃を知っている人がいなくなったら、私個人の過去はどこへ行くのだろうか?「個人の記憶」のエピソードもいつかは訪れる未来であり身につまされる。 - 2026年6月3日
謎の香りはパン屋から土屋うさぎ読み終わったKindleパン屋でアルバイトをする主人公が身の回りのちょっとした謎を解くミステリ。 かなりほのぼのとした日常系ミステリ。謎解き部分はちょっと強引な印象もある。 パンがとても美味しそう。カレーパン食べたい。 - 2026年5月28日
土人形と動死体円城塔借りてきた読み終わった魔術師であるノーシュが魔法が使えない弟子エスノダのために魔術を世界から消し去ろうとする表題作『土人形と動死体』から始まる15編の物語。 出だしはRPG、徐々にSFに移行し、最後はメタフィクションに着地したという印象。 わかるようなわからないような、言語化しきれない部分もあるけど面白かった。 魔術というより科学、コンピュータについての話?管理者権限を持つノーシュによるOSの書き換えか?などと色々考えてはいるもののまだまだ消化しきれていない。 物語の最後、読み手に選ぶことでエスノダに魂を付与しようとしたノーシュと、ノーシュとともにお話の中に在ることを選んだエスノダがいい。
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