ユメ "三十路の逆立ち" 2026年7月12日

ユメ
ユメ
@yume_bookworm
2026年7月12日
三十路の逆立ち
三十路の逆立ち
くどうれいん
くどうれいんさんのエッセイは、いつだって表情豊かだ。喜怒哀楽、なんて言葉で括ってしまうのがもったいないと思うほど、くどうさんの文章は様々な顔を見せてくれる。くるくると移り変わるその表情に、私はいつも惹きつけられている。 くどうさんが綴る言葉たちは、時に優しくまろやかで、時に鋭く棘々しく、つまりは人間味に溢れている。読んでいてはっとさせられるたび、このエッセイを書くのにどれほどの勇気や覚悟がいるのだろう、と思う。ページを捲るたびに確かな生活の手触りが伝わってくる、そんなところもまた好きだ。 「三十路の旅立ち」という表題作を筆頭に、「ポストのひこばえ」「とんぼの看取り」「しあわせは乾燥」「すももは立って」など、いったいどんな話なのかと想像を掻き立てられるタイトルが並んでいるのもいい。 仕事で訪れた久留米での素敵な喫茶店との出会いを記した「ばんぢろのこと」が特によかった。(これが正解です)ではなくて(これがひとつの正解です)と言われているような味のコーヒー、私も飲んでみたい。くどうさんはとても美味しそうに食事をされることが文章から伝わってくるから、読んでいてその食べっぷり・飲みっぷりが気持ちいい。
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