kohhee "三鬼" 2026年7月26日

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@kohhee
2026年7月26日
三鬼
三鬼
小林恭二
太平洋戦争前夜が舞台で、新興俳句の俳人が主役と聞いて、まあなんか戦争はいかんとか、表現の自由がどうとかそういう話かなと思ったが、全然違った。シンガポールでイギリス総督府の包囲網から水上機で脱出するシーンなんか手に汗握ったね。いや本当に。ほとんど007じゃんって感じだが、なにが面白いって三鬼自身はスパイってわけじゃなくてなんとなくフラフラ流されて気づいたらこうなっちゃうところ。なのになぜかかっこいいぞ西東三鬼。思うにこのキャラクターとしての三鬼の魅力は「決めない」ことにある。それは有季定型を脱した俳句観、女性へのだらしなさ、これまでのキャリア、作中の展開などいろいろなものに表れている。普段物語では勇ましい決断こそ称揚されがちだが、この小説では三鬼の「決めない」強さと優しさが、舞台となっている時局との対比もあって、爽やかで心地よい。
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